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続けてくれ、と寿は促す。
「私は怒りで全身が震えました。…彼に問い出したかったのです。お前は神童と呼ばれた男だぞ!誰も使っていない後宮の管理の仕事で満足しているのか!と…」
コウは困ったような表情を浮かべる。
「…でもそれは今思えば、彼に逢いたいという気持ちの言い訳だったかもしれません…」
今、冷静に思えば、怒りよりも何よりも彼に逢いたい気持ちの方が大きかった。
「その数ヶ月後、私にチャンスが巡ってきたのです。隣国でパーティーが行なわれるというのです」
コウは苦笑する。
「私は、この日に絶対に彼と会うと心に決めておりました。そして、私は皇子の従者として隣国の城に入ることができました」
本当に必死だった。
「当時、私以外にも皇子の従者はいましたから、他の従者に皇子を任せて、必死に全体を見渡せる高いところに行き、後宮を捜しました」
もしこのことがバレて、職場放棄と言われて従者をクビになってもいい。
それだけ彼に逢いたかった。
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