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「正直に言えば、彼は私が後をつけていることに気付かないほどに低堕落になったのか…、という焦りもありました…」
気付かれたくない。でも気づいてほしい。
今も神童だということを証明してほしい。
コウの中には相反する気持ちが交錯していた。
「今思えば、彼は待っている方が気になって気持ちがものすごく焦っていたのでしょう」
待っている方とは、当然寿のことだ。
「そして、彼が後宮のドアを開けた時、誰かに声を掛けました。今でもその言葉は覚えております」
コウはほんの少し間を開けて続けた。
「『あ、寿様!お庭で遊んでいたのですね!ただ今、タキが戻ってまいりました!今日は寿様が大好きなコーンスープと前菜からデザートまでいっぱいもらってきましたよ!料理人の方々はいい人達ばかりでいっぱいもっていけ!というのでお言葉に甘えて、いっぱいもらってきました!いくら料理人といえども、私の手料理には負けますがね!だって私の寿様に対する愛情が入っていますから!でも今日は普段食べられない高級品ですから、いっぱい食べましょうね、寿様!あ、今日は天気がいいから、今からお庭でご飯にしましょう』」
一語一句覚えている。
それはコウにとって、それはあまりにも衝撃的な光景だったから。
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