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「…じゃあそうなさって下さい、と私は答えました。…何だか私が彼と出会うために、そう言ったとお思いでしょうが、私もあの時の寿様が心配でたまりませんでした」
あの子が心配で心配でたまらない…。
でも目の前の扉は閉まったまま…。
コウが叫ぼうが、もうこの扉は開くことはないだろう…。
きっとあの子は大丈夫…!
コウはそう自分に言い聞かせる。
だって、あの子の傍には神童と呼ばれた男がいるのだから…。
神童と呼ばれた彼を信じる。
どの従者よりも重い使命を背負った彼を想いながら…。
「……皇子が、あの子の笑顔を取り戻したい、というならこの皇子に掛けてみるもいいかと思いました。そしてこの皇子なら、本当に笑顔を取り戻せるのではないかとそんな気もしていたのです」
まだ大人の庇護下にいる皇子。
けどいつか自分の足で立てた時には、あの子の本当の笑顔を取り戻してくれる。
コウにそんな気がしてたまらなかった。
だからこの皇子にかけてみようと。
あの子の最後の砦はこの皇子になるかもしれない。
だからそれまであの子には彼と一緒に、懸命に生き抜いてほしい…、と願わずにいられなかった。
「私は皇子にすべて喋りました。私の推測でありましたが、この推測には間違いはないと確信しておりました。寿様が国王の子でありながら、パーティー以前にあの城から出られない理由、寿様のことを言外したら寿様の命が危ないこと…。皇子は神妙な顔つきで私の話を聞き入っていました」
だからコウも真剣に話した。
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