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「当時、皇子は学校に行っておりましたが、クラスメイトはすべて上流階級の子供たちばかりです。教科書で戦争や差別のことを知っても、それはやはり本の中の出来事なのです。失礼ながら、寿様を目の当たりにして、差別というものがどんなものかわかったのでしょう…」
コウは続ける。
「それから皇子は慈善事業に尽力しはじめました。ご自分の目で見てどう動けばいいのか、ご自分のご判断で行動に移されました。今の皇子があるのは寿様のお陰なのです」
「でも、それは…、」
「どうか勘違いしないで下さい。同情ではありません。マユには失礼ですが、もしあの時、あの場所にマユがいたのなら手助けはしてやりたいとはお思いにはなるでしょうが、あんなにも号泣もして嫁にして笑わせてやる!なんて言わなかったでしょう。きっと寿様に一目惚れをしたのでしょう」
寿の言葉を遮ってコウは言う。
「‥そうか」
だったら余計にちゃんと決着つけないといけない。
(そこまで想ってくれてありがとう…)
だけど、その想いに応えることはできない。
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