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「…物心ついた時からいつも母に、誉められたい認められたい、…そればかり思っていた」
寿は淡々と言う。
「だから、いつの間にか俺は泣かなくなったんだ。‥泣いている時間があれば、勉強して誉められたかった…。泣いている暇があるなら、母に認めれられるように武道に励んだ…」
二人の空気がピンと張りつめている。
「はっきりいって勉強なんかしたくなかった…。外で思い切り遊びたかった…。…でも遊びたい気持ちよりも、母の期待に応えたい気持ちが勝っていたんだ。とにかくその一心だったから遊べなくても、俺は辛くはなかった…」
皇子の視線を強く感じる。
だけど、寿は皇子がこの部屋に入ってきてから一度も視線を合わしていない。
「友達がいなくても、ずっと勉学や武道や礼儀などの勉強を強いられても、あの城にずっとずっと幽閉されていても良かった…。……だって俺の傍には母がいてくれたから…」
ただ母が自分の傍にいてくれる。
本当にそれだけで良かった。
母が傍にいるだけで、寿の心は満たされていたから…。
「母は厳しかったけど、よく誉めてくれる人でもあった…。よく頭を撫でてくれて、寿は手先が器用ね、とか、寿は綺麗にお箸をもてるようになったわね、ってすごく嬉しかったな…」
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