アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
一緒に歩く登下校 side大我
-
ぱちっと目を覚ます。
まだ光に目が慣れなくってぼんやりとした世界が広がる。
曇りを消すようにぱちぱち、っと瞬き。
黒くて長い睫毛。
ぷっくりと弾力のありそうなりんごのように紅い唇。
俺とは違って血色のいい桃のような肌色の頬。
さらりと額に黒髪が流れる。
くっきりと見え始めた世界にまるで鏡を見ているような俺とそっくりな顔つきのお前がいる。
手を伸ばして頬に触れればくすぐったそうに目の端が動いて、口元が緩む。
「…んっ………」
唇から漏れる甘い声が艶めかしい。
「ちぃ……」
今は呼んでやらない昔のあだ名でお前を呼ぶ。
下瞼についていた上瞼があげられて大きな瞳がゆらりと揺れる。
「おはよ。」
まだぼんやりと虚空を眺めているお前にそう声をかける。
その声にお前ははっと目を真開いて俺をしっかりと目に捉えた。
「おは、よ……大我(たいが)にぃ、熱は?? 今日は熱はない??」
起きたお前は慌ただしく俺の肩をぎゅっと掴むと俺を引き寄せる。
こつんと額を併せて、目の前にお前の顔。
肩を握る手から、併せられた額から、お前を感じる。
体調を崩せば決まって俺を心配するお前。
いつものことだけど、必死になるお前がいつもかわいい。
そんな姿に思わずふはっ、と笑いが漏れてしまう。
「大丈夫だよ、大知(たいち)。ありがとう。」
そう返せばお前はほっとしたように顔を緩めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 25