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【35】
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「あれ、一ノ瀬くん今日はまだ帰らないの?」
「ああ、木月を待って一緒に帰ろうと思って……」
「そう、じゃあ私は先帰るね」
また明日、と言う二宮さんに手を振って俺は誰もいない教室で木月を待った。
体育祭の練習が始まって1週間、木月と2人で話す機会自体がぐんと減った。
練習が始まるまでは一緒に下校してたのが練習が始まってからはバラバラに帰るようになったし、昼間も話は出来ても2人きりになれる場なんてないに等しい。
いつも俺より練習が終わる時間が遅いし、疲れてるんだろうと思うと夜にメールや電話もなかなか出来なかった。
(でもやっぱりちょっとでも一緒にいたいし……)
まだ練習終わらないかなと窓から運動場を見ようとしたその時、廊下から「一ノ瀬?」と名前を呼ばれた。
振り向くと体操服から制服に着替えた木月が立っていた。
「どうした?こんな時間まで。一ノ瀬のほうもっと早く終わってただろ?」
「あ、うん、俺らのほうは終わったんだけど……一緒に帰りたくて待ってたっていうか…」
「…………そう、ありがとう。ちょっと待ってて、荷物まとめるから」
木月が一瞬考えるような間をあけたことが少し気になったが嫌な顔はされなかったし、俺は何も言わず木月が支度するのを待って2人で学校を出た。
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