アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【38】
-
「コーヒー、ブラックで良いですか?」
「うん、わざわざありがとう」
「いえ強引に引き止めたのは俺の方なので…すみません」
「響くんとこうして2人でゆっくり話したことなんてほとんどなかったし、嬉しいよ」
どこまでも優しい貴文さんに申し訳なく思いながら、どうぞとブラックコーヒーを渡す。……自分のコーヒーには砂糖をたっぷり入れた。
「……で、話ってなに?」
「え、えーっと……」
いざ話すとなるとどこから言ったらいいもんかと考えていると
「……あ、そういえば最近陽から響くんに彼氏さんが出来たって話聞いたよ。そのことだったりするのかな」
貴文さんが笑顔でズバッと聞いてきた。
貴文さんの察しがいいのか俺がわかりやすいのか。
「……はい、本当大したことじゃないんですけど……」
改めて言葉にしてみると恥ずかしくて俺は顔を赤くしながら、木月のこととここ数週間感じていることについて話した。
「……ってことがあって。毎日一緒には帰ってくれるしあからさまに避けられたりしてるわけじゃないので俺の勘違いかもしれないんですけど……」
「……いや話聞いてる限りその彼氏さんたぶん何かあるんだと思うよ?響くんの勘違いや考えすぎってことはないと思う。俺も、陽が何か変だなとかぎこちないなって思った時って大体何かあったし……でも聞いてみたらなんてことないことだったのがほとんどだよ。やっぱり気になるなら本人に聞いてみるのが一番なんじゃないのかな」
貴文さんの目は真剣そのもので、ああ、この人はこういう時に「そんなことないよ、何とかなる」とか「気にすることないよ、考えすぎ」というような思ってもいない適当な慰めを絶対にしないんだと思った。
「…………そうですよね。ありがとうございます」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 97