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【52】
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二宮さんとの話で頭を悩ませながら図書室の施錠を行って当番の仕事を終えた。
下駄箱に向かうと一緒に帰る約束をしていた為待っていてくれた木月が、その手に『夏期講習用問題集』と書かれた分厚い袋を持っていることに俺は気づいた。
「夏期講習?」
俺の言葉に木月が頷く。
「ああ、ほら前に先生が希望者は申し込み用紙を提出して教材を買うようにって話してただろ。俺、それに申し込んでてさっき教材先生からもらってきたんだ」
「へえ…俺そんな話があったことすら忘れてたけど…。夏期講習って何日も続くのか?」
「…土日以外はほぼ毎日」
木月は珍しくげんなりした表情になった。
「え、夏休みなのに?しかも強制とかじゃなく希望者だけだろ?」
「……うん、でも希望者意外と多いみたいでやるからには厳しくやるって。俺もここまでみっちり詰まってるとは思わなかったから夏期講習スケジュール見た時びっくりした…」
そう言いながら木月は夏期講習の日程プリントを見せてくれた。
確かに平日は10時〜16時まで本当に1日の休みもなく“夏期講習日”と書かれている。
さりげなく木月の誕生日だという8月28日を確認すると、その日は月曜日で講習日になっていた。
(これじゃあこの日に会うのは難しいか……)
何を渡すかは置いといて、プレゼント自体は当日が無理ならその前後に渡したい。
でも29日も講習日になっているし、渡すなら27日しかない。
「木月、この夏期講習の予定の入ってない8月27日って何か予定ある?」
「?ないけど……なんで?」
「えっ……とこの日祭りがあるからさ、一緒に行けたらと思って。俺は小さい頃以来行ってないんだけど、兄貴が毎年彼氏さんと行ってて楽しいって話してたから」
どう?と聞くと「いいなそれ。行こうか」と明るい顔で快諾してくれた。
偶然だけど夏祭りの日程把握しといて良かった、と内心ホッとする。
(よし……渡す日は決まった)
元はと言えば誕生日を直前まで聞くことすらしなかった俺が悪いが、こうなったら最後まで誕生日の用意をしていることを隠してサプライズにしよう、と密かに心に決めた。
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