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《番外編4》(木月side)
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「………………………駄目、寝て」
悩んだ末にそう言うと、一ノ瀬はあからさまにしゅんとした表情になった。
……そんな顔されると今すぐ前言撤回したくなるけど、キスしてしまったら俺が止まれそうにない。
元気になったらなと言って軽く抱きしめるが、うん…とは言うものの一ノ瀬の表情は晴れない。
どうしたものかと考えふと思いついた。
「……なあ、前にくれた誕生日プレゼントなんだけど」
「……?俺があげたテーマパークのチケットのこと?」
「ああ、まだいつ行くか決めてなかっただろ。あれさ、クリスマスに行かないか?だいぶ先になっちゃうけど……」
「………クリスマス……」
「うん、せっかく宿泊券付きのチケットなんだし、ふたりでクリスマスにホテル泊まろう。………………その時にたくさんキスして抱いてやるから」
だから今は我慢して、と言うと一ノ瀬は熱で赤い顔をさらに赤くさせてこくこくと頷いた。
それから「………じゃあ大人しく寝る」と言って目を瞑ると今度こそ本当に眠ってくれた。
やっと寝てくれた…と安心し起こさないように注意しながらベッドから出る。
部屋を出ると、ちょうど橘さんも陽さんの部屋から出てきたところだった。
「響くん、寝た?」
「はい、陽さんは……」
「陽も寝たよ。さっき喉乾いたって言ってたから俺今からそこのコンビニで何か飲み物買ってくるよ。すぐ戻るから」
ちょっと留守番しててもらえるかな、と言って橘さんは出かけていき、本当にすぐコンビニの袋を下げて戻ってきた。
「響くんと陽にはこのスポーツドリンクで……木月くんはお茶だけど良いかな、何が好きかわからなかったから」
そう言って袋からペットボトルのお茶を出して俺に渡してくれた。
「え、すみません…!俺のまで……」
いくらですか、と聞いたが橘さんは「良いよ、お茶の1本ぐらい」と笑った。
「それよりさ、陽は熱出すと甘えたになって寝かすの大変なんだけど、響くんもそう?部屋から話し声が聞こえたから」
「はい、寝てくれるまで時間かかりました……」
俺には隣の部屋の陽さんたちの声なんて聞いてる余裕もなかったが、俺らの声は若干でも聞こえていたんだと思うと……かなり恥ずかしい。
「何はともあれ寝てくれて良かった……そういえば木月くんが看病で持ってきたあの袋の中って何が入ってたの?」
「リンゴと冷えピタです。何買ったら良いかあまりわからなくて……」
もしかして橘さんが買ってきたものとかぶってましたかと聞くと、いや俺が買ってきたのゼリーとかだから大丈夫だよ、と首を横に振った。
「リンゴと言えば前に陽が熱出した時に響くんがわざわざうさぎ型に切って持ってきてくれたって話してたなあ」
「うさぎ型……一ノ瀬って器用ですね……」
「凄いよね、俺も見てみたい」
俺もです、と答えこの時この話は終わったが、後日風邪がうつり本当にこのうさぎ型リンゴを作ってもらうことになろうとはーーーこの時の俺はまだ知らない。
***《番外編》終
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