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【73】
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多田先生からカイロや飴をもらった翌日の昼休み。
俺はタクヤと次の現文の授業に使う資料を教室に運ぶために職員室に呼び出されていた。
「ダンボール1箱なのに結構重い……」
「ってかこれ持ったままじゃドア開けらんねーな…」
ダンボール置くか、それとも誰かにドアを……と話していると、そばにいた篠原先生がそんな俺らに気づいて無言でドアを開けてくれた。
「あ、ありがとうございます」
タクヤとふたりで頭を下げるが篠原先生は頷いただけでニコリともしない。
微妙な空気に若干戸惑いながらもとりあえず開けてくれている間に職員室を出た。
職員室を出て少し離れた場所に来るとタクヤが「びびった……」とため息をついた。
「俺、篠原先生って苦手なんだよな……笑わないし、冗談とか言ってるところ見たことない」
「あー……確かに俺も笑ってるところ見たことないかも。授業中とかもあんな感じなのか?」
篠原先生は世界史の先生で、日本史選択をしている俺は授業を受けたことはないが、そんな俺でも篠原先生が『笑わない先生』だと言うのは聞いたことがある。
「……ああ、授業も淡々としてて必要以上喋らないよ。ロボットみたいでちょっと怖い」
「ふーん……でも逆にクールで格好良いなんて女子が言ってるの聞いたことあるけど」
「あー女子人気は高い先生だよな。あの高身長だし。…………あ、でもそういえば前に誰かが篠原先生が笑ってるとこみたことあるって言ってたな」
「へえ、どんな時?」
「あのいつもニコニコしてる多田先生と話してる時だって。まあ笑ってるって言っても爆笑してるとかじゃなくてちょっと固い表情が崩れたって感じらしかったけど」
「……多田先生と篠原先生って意外な組み合わせだな」
「そうそう、俺らもその時意外な組み合わせだなって話しててさ。でもこの学校で20代の男の先生ってあの2人ぐらいだしそれなりに話はするんじゃねーの?それに先生らの間でも仲良いとか悪いとかってやっぱりあるんじゃね」
「まあ確かにそうだよな…俺はそんなの今まで考えたことなかったけど」
「そういや響は先生の好き嫌いって言わないよな。他にも仲良いって噂の先生らとかいるぜ?例えば地学の先生とーーー」
それからタクヤは今まで聞いたことないような様々な先生情報までここぞとばかりに話してくれ
た。
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