アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【75】
-
翌日、掃除の時間に多田先生がいつものように窓を開けて話しかけてくることはなかった。
午前の英語の授業には普通にいたから休みではないことはわかっている。
(やっぱり昨日の“アレ”だよなー……つい口が滑ったって感じだったし。詮索されたらヤバいって思ってんのかな)
今朝気になってタクヤに篠原先生の名前を聞くと、“篠原優吾(ユウゴ)”先生だと教えてくれた。
(昨日の話の流れからしても……“ユウ”って篠原先生のことだよな。親しい仲みたいだし……好きなのかな、篠原先生のこと……それとも付き合ってるとか…?)
ふたりの関係性が気になったが、それ以上に多田先生が俺に絡んできた理由も聞きたかった。
多田先生が俺に色々聞きたがるのは偶然見かけた自分とは違う俺らのような同性愛者が面白いのかと思っていた。
が本当に俺の予想通りだったら多田先生も“同じ”なわけだし、俺に絡んでくる理由なんてないんじゃないのか?なんで───。
ひとりでぐるぐる考えても当然だが答えは出てこなかった。
(……っていうかこっちは色々根掘り葉掘り聞かれたんだし、少しくらい強引に聞いても良いんじゃないか?今日はもう放課後だから無理だけど明日の掃除の時間俺のほうから休憩室の窓を叩いてみるか……)
そんなことを思いながら図書当番を終え木月が待っている下駄箱に向かっていると、普段使用されていない資料室から話し声が聞こえてきた。
「………だからもうカミングアウトしたら良いじゃないか、その一ノ瀬という生徒に。元々はお前が蒔いた種だろう」
(…………?俺……?)
一ノ瀬という言葉に思わず立ち止まり、悪いと思いながらもほんの少し開いていたドアから中を覗き込んだ。
声の人物は俺の位置からは見えなかったがその人物と話している相手────多田先生の姿は見えた。
が、多田先生だと認識した直後俺の視線に気づいたのか一瞬こっちを見た多田先生とばっちり目が合ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
87 / 97