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蜜月 11
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お兄ちゃんの目的は何なのだろう。
俺を片桐から離すだけが目的なのか?
お嫁さんなんて言って、自分の都合のいいお人形さんを作り出そうとしているんじゃないのか?
「何で拗ねてるの?」
お兄ちゃんはトイレから出ると、目線を俺に合わせて屈む。俺は、視線を逸らした。
「……旦那様に見られるのヤダ。……恥ずかしい」
俺を囲うだけでは飽きたらず、羞恥心を煽り、自尊心を砕く。
「僕はこうちゃんに見られても平気だよ?」
「見たくない」
「僕は見たいよ。こうちゃんの知らないとこ、いっぱいあるからね」
セックスまでしたのに──。これ以上何を知りたいんだろう。
俺の心、そのもの? それを知ったら、お兄ちゃんは俺の望みを叶えてくれるだろうか?
そんなこと絶対にない。お兄ちゃんは俺のことを「知りたい」んじゃなくて、「変えたい」んだから。俺の心がどうあるかなんて、どうでもいいんだ。
「恥ずかしがるこうちゃんも、拗ねるこうちゃんも、もう、僕だけが知ってるこうちゃんだ」
「……僕だけ……」
そして、「僕だけ」を植え付ける。
「そう。だから機嫌直して。こうちゃんは僕にだけ見せてくれればいいんだよ。こんなのはすぐに慣れるから」
ほら、「慣れる」だって。それが望みなんだ。お兄ちゃんにだけ従順なお人形になるために「慣らす」んだ。頼れるのは僕だけしか居ないんだ、と教え込むために。
「…旦那様に…だけ……?」
「そうだよ。ここには僕しかいないからね。こうちゃんのかわいいとこ、僕だけに全部見せて?」
お兄ちゃんは両手で俺の顔を挟み込み、サラサラと撫でる。優しい目の端々に、捕食動物の冷たい瞳が垣間見えた。俺はその瞳を捉えて頷いた。
「…恥ずかしいけど…旦那様にだけ…なら……」
顔を撫でるお兄ちゃん手を取って、スルリと首にしがみついた。
今一度、欲望を満たすと決めたんだ。
お兄ちゃんが狂うために必要なら、望むようなお人形を演じることだって厭わない。
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