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そんな俺の予感は、運悪く的中する。
途中で、授業が面倒になり早退させて貰った日。
下校していると、弟がある男の背中を押して、どこかへ行こうとしていた。
ピンッと何かを察した。
弟は俺に気がつくと、顔を青くする。
俺は平然を装い、弟とその男に近づいた。
いつものように暴言を吐き、今気がついたというように男の名前を聞いた。
『────です』
名前を聞いて、すぐに頭の中にインプットする。
弟が、この男に惚れていると勘づいたからだ。でも、弟本人はきっとその事に気づいていない。
だから、尚更イラついた。
弟に対して普段言うように、俺はソイツにも暴言を吐いた。
その男は、俺に対して嫌悪感を剥き出しにする。
当たり前だ。初対面であんな事言われたら、俺なら黙ってない。
だけど。
こんな男の何がいい。俺の方が顔が良くて、頭も良いし、スポーツも出来る。俺の方が、絶対弟を愛している。それなのに、何故コイツなんだ。
暴言の後、弟はすぐにその男を庇うように、俺に頭を下げる。
『この人は何も関係ないです』
と、震える声で俺に訴えかける。
なあ、嘘だろ。嘘だって分かってんだよ。
関係なくない。お前はこの男に、惚れているんだよ。
俺じゃない、コイツに惚れている。
でも、俺はそれを弟に気づかせたくなかった。
そんな弟を見たくなかった。
一刻も早く、この場から逃げ出したかった。
そんな衝動を抑えて、帰り際に軽い暴言を吐き、俺はその場からすぐに立ち去った。
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