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初恋
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授業が終わり、次の授業の予習を軽くしていると、高校に入ってから何故か三年間同じクラスの友人が、俺の席の前に座り、俺のシャーペンを持つ手を握ってきた。
「なあなあ。お前って好きな人いる?」
「……なに突然?」
俺は握ってきた手を振り払い、勉強の邪魔をするなと言わんばかりに、ぶっきらぼうに答えた。
目の前にいるコイツは、どちらかというと空気を読まないし、人の感情を普通にズタボロにするような人間。
悪気がない所がタチ悪い。
「いや、ちょっと気になったんだよ。お前って、なんか人を愛するってタイプじゃねぇだろ?初恋とかは?」
ほらな。
続けて質問を投げかけてくるソイツに、俺は苦笑いを浮かべる。
コイツも、俺が狂おしい程に愛している人がいるとは知らない。
「失礼にも程があるだろ」
「実際、そうだろ?なあ、初恋は?したことあんの?」
「初恋、ね」
予習は出来ないだろうと思った俺は、シャーペンを筆箱にしまい、軽く頬づえをついて窓の外を見る。
雨が降っていた。
少し肌寒くなってきた最近。
……夏も終わり、秋でさえ終わりかけの今。
俺は、久しぶりの秋の雨を眺めながら、初恋相手の弟を愛しはじめたキッカケの時のことを思い出した。
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