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ボスが逃げてから気づいた。アイツを殴った拳がものすごく痛い。
俺は舌打ちをすると、倒れ込んだままの弟を無視して、足を進めた。
後ろで砂をほろう音が聞こえたあと、ランドセルがカチャカチャとなる音が近づいてきた。
「に、兄ちゃん。助けてくれて、ありがとう」
俺にお礼を言い、ニコニコしながら隣を歩く弟を俺は無視した。
弟は俺が無視しているというのに、ずっと話しかけてくる。
『さっきの兄ちゃん、凄いかっこよかった』とか、『兄ちゃん凄い強いね』とか。
笑顔でそう言う弟に無性にイライラした俺は、弟を睨みつける。
「お前さ、蹴られて何で無抵抗な訳?馬鹿じゃねぇの」
俺の心無い言葉に、弟の顔から笑顔が段々となくなり、次第に泣きそうな顔へと変わっていく。
「……ごめんなさい」
風の音にかき消され、消え入りそうなか弱い声で、弟は俺に謝った。俺が怒るとすぐに謝る弟がムカついた。
何の反応もせずに、俺は歩みをすすめた。
そんな時、無言で俺の隣を歩き始めた弟の足がたまたま目に入った。
弟の白くて細い膝から痛々しく血が垂れていた。
俺はまた舌打ちをすると、俺が怒ってからずっと落ち込んだままの弟の手を引っ張って家へと急いだ。
弟は、何で手を引っ張られているか分かっていなくて、ずっと俺に『どうしたの?』と声をかけてくる。
俺はその声が、聞こえないふりをした。
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