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膝の怪我から数日後。
学校から帰り、家に着くと、弟が家の中に入らず家の玄関前に座っていた。
「邪魔」
俺が来て少し笑顔になった弟に一言そう言うと、弟は小さな声でまた『ごめんなさい』と謝った。
「さっさと家の中に入れよ」
「……だって、テストまた悪かったんだもん。…怒られるから」
またあの耳障りな両親の怒鳴り声を聞かないといけなくなるのか。
それは、めんどくさいし厄介だな。……あ、そうだ。
あることを思いつき、俺は弟に手を伸ばした。
「…テスト見せろ」
「えっ……」
「早くしろ」
「う、うん……」
弟は俺の言うとおりにランドセルからテストを取り出して、俺に見せる。
大きく書かれた25点という数字に、俺は溜息を吐いた。
そのままテストを受け取り、俺はそれを弟の目の前でビリビリに破った。
「に、兄ちゃん!なんで破るの!」
破っている所を驚いて見ていた弟は、破り終わった後にやっと意識を取り戻し、破かれて下に落ちたテストを拾い集める。
「……破って捨てたら、こんな酷い点数取ったことがバレねぇだろ」
「で、でも……」
「バレても俺が破ったって言うからお前はさっさと家の中に入れ」
弟の手から破れたテストを奪い取ると、ポケットの中にそれを詰め込んだ。
弟はずっと不安そうな表情で、俺を見てくる。
「……う、ん…」
弟は喉からやっと声を出したという程に小さな声で返事をすると、家の中に入っていた俺の後ろをついてくるように、おどおどしながら家の中に入った。
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