アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
それから数十分後、弟はやっと落ち着いてきた。
目を真っ赤にして、俺の首に腕を回したまま、俺の顔と数センチの距離で話しかけてくる。
「兄ちゃ、……今日、一緒に寝てもいい?」
「勝手にしろ」
俺はそう言うと、部屋の電気を消して、ベッドに入った。
壁に顔を向けて、弟に背中を向けるように横を向いた。
弟は、少ししてから俺のベッドに入り込んだ。
ドキドキ、とうるさく鳴り響く心臓が弟に聞こえてそうで、緊張していた。
そんな俺の気も知らず、弟は俺のお腹に腕を回して抱きついてきた。
ビクリ、と思わず俺の身体が震えた。
「兄ちゃん…」
「……なに」
話しかけてきた弟に、冷たく返事をする。
「兄ちゃん、ボクのこと嫌い?」
「……嫌い」
俺が少し時間たったあとに、そう答えると弟が俺を抱きしめる腕の力を少し強くした。
トクントクン、と弟の柔らかい心音が俺の身体に流れ込んでくる。
すべてにドキドキしている俺は、ギュッと強く目を瞑った。
「…そっか。……でもね、ボクはね、兄ちゃんのこと凄い大好き」
弟はそう言って、えへへ、と小さく笑う。弟の吐息が、背中に感じる。
俺は素直に、え?と思った。
こんなに冷たく当たっているのに、こんなに冷たい態度しか取ってないのに。“ フツウ”はこんな態度を取られたら、嫌うに決まっているのに。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 32