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歪─いびつ─
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「──……、…い!……おい!」
「……あ、悪い」
机をバンバン叩かれた時に、やっと俺は思い出から現実へと意識を取り戻す。
「なに考えてたんだよ」
「……初恋」
頬づえを付きながら、ぶっきらぼうに答えた。
「え!お前って初恋したことあったの?」
「まあな」
「へ〜。お前でも初恋はするんだな〜。でも、やっぱり初恋って早めに終わらせるべきだよな」
俺が初恋を体験してたことに驚いたソイツは、椅子をガタガタ前後に揺らし、ははは、と乾いた笑いを浮かべた。
遠回しに含みのあることを言われ、俺はそれが素直に気になった。
「……なんで?」
「お前、知らねぇの?よく言うじゃん。
──“ 初恋は叶わない”ってさ」
ソイツから言われた何気ない嫌な言葉がグサリと胸に刺さる。
でも、少しだけ違うところがある。
……たとえ、これが初恋じゃなかったとしても、俺の恋は、愛は絶対に叶わなくて報われない。
「……ああ、…そうだな」
「だって、お前も叶わなかっただろ?……あ、でも、その顔だったら叶うのか?」
ニヤニヤとニヤついているコイツの顔が気に食わないと思わなかったのは、きっと俺の恋の結末が丸わかりだから。
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