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幼馴染みな関係⑦
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「お前って何考えてるか分かんないらしいよ」
「…何の話?」
帰り道。
いつものように家に帰る途中、ふと今日の会話を思い出し茅に笑いながらそう言った。
それを聞いた茅は眉をひそめた。
そう、俺はあれから考えたのだ。
あっきーから生物のノートを借りて課題をやっている時に。
俺はあの時何を言おうとしたのかを。
考えてみればすぐ出た答え。
茅は別にミステリアスでも何でもない。
本当に何にも考えていないのだ、と。
いやそれって、茅に失礼だとか思うかもしれないがそれが本当なのだからしょうがない。
「お前って無表情だからなー。
そう言われても仕方ないよな、うん」
「いやだから何の話なの」
1人で納得していると、隣にいる茅は納得していないようで。
顔が険しくなる一方だ。
「いや今日な、お前って何考えてるか俺が聞かれたんだよ」
「……なんて答えたの?」
「答える前に生物の課題をやらなくいけなくて。
ほら、今日提出だっただろ」
「それで終わったの?」
「おう、あっきーに見せてもらった」
にかっと笑って茅に言えば少し驚いたような顔をした後、また顔にしわが寄っている。
整った顔が台無しだぞ。
「…俺あいつ無理」
お前、亮みたいなこと言うなよ。
と心の中で突っ込み、「なんで?」と笑いを堪えながら茅を覗き込む。
「…初対面で可愛くないって言われた」
なんだか不貞腐れたような顔で応える茅に俺は笑いを隠しきれない。
確かに、可愛くはないよな。
「あっきーは可愛いものが好きだからなー、亮とか!
あいつら中学からの仲らしくて、あっきーが溺愛してるんだよな」
「…へぇ」
茅はそんな事どうでもいいって顔で小さく返事をした。
しょうがないか、あっきーのこと苦手なんだし…
なんて思ってもやっぱり仲が良いやつ同士が仲良くないのは何となく寂しくてしょんぼりする。
とゆうか茅は俺以外に友達と呼べるような人がいるのだろうか。
てかちょっと待って、俺が生きてきて15年間物心がついた頃から記憶を遡ってみるけど、俺が知ってる人で誰1人いない。
それってちょっと問題じゃないか?
と思ったが「まぁ茅だからなぁ…」で終わってしまう。
これでも昔は、茅より俺の方が背が高かった。
クラスでも高い方だった俺は後ろに友だちを何人か引き連れて。
その一人だった茅も後ろからテクテク付いてきて「ゆずくんゆずくん」って可愛かったのに。
今隣に居る茅とは別人のようだ。
このどうしても埋まらない15センチが憎い。
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