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流れ過ぎた過去
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かつて、人間と獣人は戦争を繰り返していた。
何年も何年も、幾度となく繰り返し、互いの民はすでに疲れ果てているというのに、上の者は戦争をすることをやめなかった。
上の者は欲望に走り、周りのことなど全く気にしていなかったのだ。
民がそれにようやく気付いたときにはもう、互いの土地が荒れ果て、復興も絶望的な状況だった。
相手に勝つしかないと、死しか先に見えない特攻を続け、一人、また一人と倒れ伏して行った。
その中で一人、ある人間が軍隊から外れて獣人たちの領土にある社に来ていた。
人間が社に入ると、そこは戦争中だというのが嘘のように綺麗に整っており、なぜかそこの上空だけ空が澄んでいるように見えた。
「初めまして、人間のお客様」
ふと耳に入った見知らぬ声に目を瞬かせる。
すると、確かにそこには一人の獣人が笑いながら立っていたのだ。
獣人は儚い笑顔を携えながら、人間に向かって言い放った。
「私をーーーー殺してください」
人間には、その笑顔がとても歪んで見えた。
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