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夏智「…つき、いつき!一稀!」
夏智の声が聞こえてきて、そちらを向くとそこには怒っているような泣きそうな顔をした夏智がいた。
夏智「一稀、しっかりして!陽向ならきっと大丈夫だから!」
陽向は今、病院に運ばれて手術中だ。
全部俺のせいだ。
あの時、父親の声が聞こえてきた時に振り返っていたら防げたかもしれない。
そうしたら、陽向を危ない目に合わせることは無かったはずだ。
そんな後悔が頭を支配する。
一稀『…俺が刺されるべきだった。なんであの時っ…』
拓人「それは違う」
どう違うんだよ。
なんで誰も責めないんだよ!
皇龍の総長でもある俺が陽向を守れなかったんだぞ?
一番守らなきゃいけねぇ陽向を。
もっと責めてくれよ。
正樹「陽向はそれを願ってると思うか?」
ふと顔を上げるとそこには正樹兄貴がいた。
正樹「陽向なら大丈夫だ。余り傷は深くなかったらしい。それに、父親もちゃんと捕まった。良くやってくれたよ」
一稀『…そんな事言わないでください。俺は陽向を死なせかけた。もし、深く刺さってたら死んでしまっていたかもしれない。守れなかった自分が憎いんです。自分が刺されればよかった』
正樹「陽向はじゃあ無駄に怪我をしたのか」
…え?
正樹兄貴は急に真顔で言った。
正樹「だってそうだろ?お前は今、陽向じゃなくて自分が刺されれば良かったって思ってんだから。そんな奴守っても意味ねぇだろ?…これでも、お前は自分が刺されれば良かったって言うか?」
一稀『……ありがとうと言います』
俺がそう言うと、正樹兄貴はよし!と表情を柔らかくして俺の頭をクシャと撫でた。
陽向、早く戻って来いよ。
お前には言いたいことが沢山あるからな。
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