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16話
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「どうしてそう思う?」
平然を装い話を進めさせた
「い、いや憶測だよ!?
だって海璃があんなにも人を探して見つめるなんてしたことなかったし…ましてや1人のために、、、
恋人も愛人も…せ、せ、セフレとかも作ったことない海璃が…しかも君の〝お姫様〟をずっと見てるから…
それと…君の〝お姫様〟も海璃を見ていた…
しかもなぜかとても苦しそうな顔してた…
一瞬だったし見間違いかもしれないけど…」
少し慌てた口調でいう直樹
それを見て
ー…まぁ、直樹なら誰にも言わないしなぁ…
それに直樹は人を見る目はあるし、
なによりお前は大切な存在だから…ー
考えて巫琥は決断した
「…はぁ…お前には話すよ直樹…
ああ、そうだお前の言う通りだよ…
海璃はな俺の大切な〝お姫様〟の〝王子様〟だよ」
その言葉を聞いて少し驚くが
直樹は笑顔になる
「やっぱり…!
んじゃもう2人は相手を見つけられ…」
「いや駄目なんだよ」
「え……?」
直樹は巫琥の顔を見る
少し苦しそうな顔をしている
「…な、なんで…?
なんでダメなの?どうして!?
運命の相手が見つかるなんて早々ない!
しかもこんなにも近くになんて…!
なのに…!」
直樹は巫琥の腕を引っ張る
「…俺だって!!!!
俺だって…あいつらの幸せを望みてぇ…
俺はいいと思うんだ…
あいつら…俺の大切な親友の海璃、
俺の命よりも大切な弟の氷琥…
だけどな…母さんが許さない…
いや鴇家が許さねぇ…
俺らの鴇家は藤咲家を嫌っている…
俺は許したんだ許したんだが……」
「藤咲家を…?
どうして…?あそこは剣術と、
刀の鍛刀の由緒正しい家系…
何が問題があるの?」
「その刀のせいだよ…」
「…?」
直樹は分からなくなる
どういう意味なのか
どうしてなのか
巫琥は泣きそうな顔で見つめる
「その藤咲家の刀で…
俺の…
俺の兄貴は命を落とした…
いや…殺されたんだ…」
直樹の方を見て話していた巫琥がつーっと涙を流した
蒼いいつも真っ直ぐな瞳が揺らぐ
波のように海の中のように
ーすま…ねぇ…あとは………宜しくな?ー
すました顔で最期までいた兄
煉獄の炎の中で助けを呼ぼうとした巫琥
兄の身体を刺さった刀が炎の光でキラキラ輝いていた
昔から力があった訳でもない
無力な自分を嫌いになった日だった。
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