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38話
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「それで、あんたはどうしたんだよ!!!!」
有璃は攻撃をかわしながら言う
素早く体の体勢を変えながら攻撃してくる愛里紗は
「そうですね、話が途中でしたね!
その後は…とりあえず向かいました
彼女の向かった方へ…」
愛里紗は重くなった重りでも付いたような足を
少しずつ少しずつしかし自分のできる限りの速さで行った
ーどうか…どうか…
彼女は無事でありますように…!ー
ただそれだけを考えていた
そして…
吸血鬼らしき山のそばに
愛里紗が探していた者がいた
「……マリー!!!!」
金髪の髪の毛が少しぼさついていたが彼女であった
彼女ことマリー・テレシネは生きていた
傷だらけのものの命に別状はなさそうだった
愛里紗は駆け寄る先程までの重りが嘘みたいに軽い
その足でマリーの前まできた
「マリー、あぁ、マリー!
生きていたのですか!
ここへ向かう途中貴女の折れた剣を見て焦りました
ですがそんな心配無用でしたね
早く帰りましょう、
先生に言いましょう!」
微笑む愛里紗
その顔を見てマリーはつらそうな顔をしながら答えた
「…やぁ…愛里紗
私はしくじってしまったよ…」
「え?マリー?
なに…をミスったのですか?」
マリーは微笑む
月明かりが彼女の姿をキラキラと照らした
その時にマリーの言いたいことがわかった
愛里紗は驚愕した
「ま、マリー…貴女その…瞳の色…」
彼女の瞳はいつもと違う
赤い、赤い瞳になっていた
うっすらと牙も見せるように笑って見せた
「…最後の最後でね…
しくじってしまったわ…
毒に少し耐性があったのかしら
あのヴァンパイア対策用の薬で刺したのに
少し生きていたのよ
そして私が他の奴らをやっている時に後ろから噛まれて…
自分の血液を流した所で息絶えたわ
情けないわね本当に…」
月明かりではっきりしているマリーの顔を見て
愛里紗は涙を流す
「…ま、マリー…
マリーは悪くない…
油断なんでしてない。
想定外の出来事が起きただけなんです…
それだけなんですよ…」
それを見てマリーは愛里紗の頬に触れる
「…貴女は優しいですね愛里紗
人のために涙を流すなど…
だから貴女は強いのです
他人のために涙を流し、共感できる
それが今の貴女の強さなのです
私には今まで無かったことです
強くなりすぎて孤独だった
友達など、自分を弱くするだけかと思っていました
なのに貴女は私のその考えを覆したのです
それ故に貴女に少し嫉妬するところもありました
友達が多い貴女に
ですが今はそんなのどうでもいいです
私は嬉しい
貴女が私のために泣いている事が…
貴女は友のために涙を流すことが多いと前に言っていましたね?
つまりこれは…
私は少し期待してよろしいのですか?」
マリーは涙を流していた
愛里紗は驚く
彼女の涙を流すところを見たことがなかったのだ
だからこそ嬉しかった
「ええ、ええ!
私はマリー、貴女を友達だと思っていました
尊敬するライバル、勝てないけれどそれでも同じ場所に立てる喜び…
だからマリー、私達は最強の2人で友達なのよ!!
貴女がヴァンパイアになろうが私は貴女の味方よ
この世界が敵になろうと
貴女は貴女なのだから
私は貴女のそばにずっといるわ!」
それを聞きマリーはもっと涙を流した
ありがとう、ありがとうと
愛里紗は少しほっとする
自分に心を開いてくれたのだと
安心した
ヴァンパイアはもうこのにはいない
それだけでも嬉しいのに
マリーも生きていた
少し形は違うけれども
ー…このままマリーのそばにいよう
私がマリーを守ろうー
そう決心した愛里紗であった
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