アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
53話
-
氷琥は優しく微笑みながら
天照大御神の前に手を差し伸べた
「…私は…いらない神様じゃないの?
あなたは私のこの気持ちわかってくれるの?
初めてこの地に来て戦ってくれているあなたは
私のことを必要としてくれるの?」
ポロポロ涙をながす天照大御神が言う
「この世に
いらない神様何ているわけないじゃないですか
確かにいるかもしれませんあの人みたいに
ただの見世物として使う人が
けれど、神様ってことはみんなに祈りを捧げられたり、
この世界を作ってくれた神様だったり
学問の神様、戦の神様、恋愛の神様とか…
そして…夜の神様、太陽の神様って
たくさんの神様がいるんです
神話の中の神様でも
人間が作った神もいるかもしれないけど…
みんなから必要とされているんです!
なんでいらない神様がいるんですか
天照大御神、あなたは太陽の神様
太陽の下でいつまでも笑顔を作り
この地を明るく照らし続けることが出来る神様です
だから…
僕はあなたを必要としている契約者です
天照大御神だからあなたが欲しいんじゃない
あなたのその笑顔が大事だから!
その笑顔を絶やしたくないから
僕は契約したい!!」
そう言って天照大御神に言った氷琥
それを聞いてもっと大粒の涙をながす天照大御神
ポツポツと涙が落ちた地に
草々が生えてきた
元々地にあった種子が天照大御神の神の力の宿った
涙で急激の成長を遂げた
花も咲き誇り始めた
いつの間にか地に座りついていた天照大御神
氷琥も膝を片方ついて同じ目線にいる
初めてそこまで自分を必要としてくれた者に
その者の姿を目に焼きつけるかのように
じっと見つめる天照大御神
氷琥はずっと微笑んだまま
抱きついた
暖かい温もりと鼓動が聞こえてきた
「わ、たし…
必要って言われたかったのね…
昔から太陽の神様として
祈られ続けてた
けど、それは祈りと供物のみ
太陽の神様である私がいるだけで
私じゃない天気を操れると言われた
巫女がいればそっちへ
みないってしまった…
そう、私なんか…
そんなことばかりだったのに…
あなたは天照大御神の私じゃなくてもいい
そう言ってくれた
あなたのこの温もり…
忘れたくない…
ここで終わりたくない…」
勾玉が光を止めた
着物の色が淡い黄色と緑色のグラデーションに変わる
頭に金色の丸いものを付け、衣の色が元の色に戻った
そして
「!これ…! 」
氷琥の腕に太陽の形をした刻印が浮き出る
天照大御神は微笑む
少し頬と鼻の先を赤くして、
「改めまして
私の名前は天照大御神
知っての通り太陽の神様
月詠と素戔嗚尊と共にこの世界に生まれた神様よ
みんなの笑顔を照らせられる
そんな神様になるわ
鴇氷琥、
あなたを私の契約者と認めます
血の契約はしなくて結構よ
もう、私はあなたを心から信頼しているから
私の命はあなたと共に」
そう言った瞬間
ーパキンっっっー
「な!!!!!!!!!」
戦っていた綾音の太陽の刻印が砕け散った
「アマテラス!」
月詠も感じ取り天照大御神のほうを向く
天照大御神の髪が色が変わる
氷琥と契約し、魔力が変わったため
見た目が変わる
長髪の水色にオレンジの瞳
先程の着物が変わったのは
氷琥と契約するのを決めたから
「私は
氷琥と契約した神様!
天照大御神よ!
新しい姿で誕生するわ」
優しい光を発しながら
綾音と月詠の方へやってきた
「鴇氷琥!!
あなた…なんてことしてくれるの!!
私の…いえ
言峰家の大事な神を!!!!!!!!!」
「黙れ!!!」
氷琥が怒鳴った
「言峰綾音
お前は神様を見世物扱いしていた
神様をそうやって見世物扱いばっかして何が楽しい!!
神様はものじゃい!
契約したなら契約したなりに
共に戦え!!
月詠と相性いいなら月詠だけにしろ!!
天照大御神はずっと自分が使われず
見世物扱いだけされたことをどれだけ傷ついたか
分からないだろ!!!!!
天照大御神はみなを照らす太陽の神様だ!
それを…ただの見世物としてしか…」
そう言っている氷琥を横で見る天照大御神
拳を強く握りすぎて血が滴り落ちていた
「氷琥!血が出てるわ…!」
オロオロとする天照大御神
それを聞き朔鵺、黒鬼は
「月詠、お前はこんなやつでも
契約しておきたいと思うのか?」
「月詠、君は夜を司る神様
こんな使われ方で本当に満足しているの?」
月詠はそれを初めて聞いたようだった
綾音はいつも月詠には
ーいつもあなたがいない時は天照大御神を使ってるから
気にしないでー
そう言っていたのだ
天照大御神は楽しい、死のない戦が好きだ
月詠はそれを知っていた
だから、ちゃんと使っているのか聞いていたのだ
「わ、私は…」
頭を抱え始めた月詠は武装していたものを解く
「ちょ…月詠…!!
あなたまでいなくなったら私…何も無くなるじゃない!
やめて、いなくならないで!!」
綾音は慌て始めた
朔鵺は扇で口元を隠しているが
目が蔑んでいた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 109