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57話
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慧の弟桂(かい)は朔鵺の話をすべて聞いて
土下座したままの朔鵺に言う
朔鵺は土下座しても済む話ではないのは分かっていた
しかし、土下座していた
「…兄はいつも貴方のことを快く楽しく
話をしてくれていました
朔鵺様、兄はあなたを恨まないだろうし、
私たち家族も十分承知です。朔鵺様、貴方がいてくれたからこそ兄は成長したのです。
そばで支えてくれたからこそ成長したのです。
だから顔をお上げください
兄の慧の為を思うのであれば…」
そういって慧と同じような顔立ちの桂が微笑む
それを見てもっと涙を流す
しかし桂のその言葉でどれだけ救われただろうか
朔鵺は慧を失い生きる糧を失った
しかし、その祠から東條家を見守ることを生きる糧にした
桂が事故に合いそうになればそれを未然に防ぎ、
妻と結婚する時は資金を提供し、
裕福に、美しい妻を持ち、子供が三人生まれ
楽しく過ごしていた
それを見ているのは微笑ましいものだった
朔鵺は慧の遺骨の一部を琥珀におさめ、
ネックレスにし、肌身離さず持っていた
その琥珀に手をやり
「みろ、慧
お前の弟は美しい妻を持ち、子供にも愛されているぞ?」
など、桂の話をしていた
それから子供三人が妻、夫を持ち子供が生まれ
それが何回か続き、東條家によって
朔鵺の祠は何度か直された
いつの間にか祠は大きな社になった
東條家は大きな企業になっていた
その時に同じくらい大きな企業を営んでいた鴇家
東條家と仲良くしていた
あまり興味はなかったので鴇家のことは無視していた
しかしいつの間にか
東條家は鴇家に飲み込まれ
婚約をしていた
そんなある日
朔鵺は社でいつものように東條家を見守っていたその時
「ねぇ、ここの社大きいね〜!
あと森綺麗〜!!!!!!!!!」
小さな子供の声が聞こえた
声のする方へ向かうと
「まぁ、こんなに大きけりゃ、壊しがいありそうだな?
俺の雷槍でやってやるか?」
そういってバチバチと青い雷を出す槍を出した少年
「こらこら、、、
君がそんなことしてしまったらここが壊れてしまうじゃないか…お前は本当に神社とかそういうの好きだね(クスッ)」
二人の子供の頭を撫でながら微笑む少年
この三人は兄弟らしい
銀髪で蒼い瞳の少年達
その中に一人、一番小さい子だけが
瞳が片方で異なっていた
「美しい瞳の色だな…
桂の…瞳にそっくりだ…」
ポツリとそうつぶやくと
小さな子供の方が振り向く
「?」
「どうした氷琥?」
「んー??どうしたんだい、氷琥?」
二人の少年が首をかしげていると
小さな子供が
「今、声がしたよ?
多分神様だよね!!!!!!!!!
姿が見えないから!
多分ここには立派な神様がいるんだね!!!!!!!!!」
にぱっとした笑顔で言う
ー…我は…立派な神様じゃない…ー
そう思っていると一番上らしき少年が言う
「そうだね
立派な神様だと思うよ?
けど、多分この神様は悲しい過去をお持ちかな?
だからこそ自分はいい神様だとは思えていないはず
そうでしょう?
金髪の神様?」
そう言うと青い宝石のブレスレットが付いた方の手を
上にあげ何やらつぶやく
すると…
「!」
朔鵺の結界をいとも簡単に解き
朔鵺の姿が見えた
「ほんとだ!さすが夜琥にい!
俺もそんな風になりたい!」
そのやり方に真ん中の子は目を輝かす
朔鵺は目を見開き驚いていた
「驚いていた…
お主、、、、、名は?」
袖で口元を隠しながら言う朔鵺に
「僕は鴇夜琥
この鴇巫琥、鴇氷琥の
不甲斐ない兄です
何卒、よろしくお願いします
朔鵺」
そう言った瞬間
夜琥の瞳が慧と同じ緑色になっていた…
気がした…
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