アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
61話
-
結界の中
巫琥のその話聞き
朔鵺はため息をつく
「なぁ、鴻」
「はい、朔鵺様」
朔鵺が呼ぶと水色の髪が特徴の青年が現れた
声を聞き、朔鵺は続ける
「我は…巫琥を救うことが出来ないのだろうか…」
「え?」
「我は誰も救えないのではないのだろうか…
慧も失い、夜琥までも失った我には…もう…」
その言葉はいつもより力のない言葉だった
鴻は強く言葉を発する
「貴方が…
そんなんじゃ、誰も救えやしませんよ!
いつもの強気の朔鵺様になりましょうよ!?
それとも貴方は……
本当にまた…
慧様や…夜琥様の時のように
自分の前で生命が消えていくのを
ただじっと見ているのですか…?
救いたいのであれば救いましょう
貴方はもう力を持っているのでは?
なぜ、自分を信じようとしないのです!」
ギリッと拳を握っていう鴻
ポタポタ血が垂れていく
朔鵺は目を閉じて悔しがる
巫琥は夜琥が死んだのは自分のせいだと
海璃の家の刀のせいだと、
そう思っている
しかし、その話には朔鵺も少なからず関わっていたのだ
まさか、そのせいで
慧の生まれ変わりの夜琥さえも失う羽目になった
炎に包まれる場所の中
巫琥は夜琥の最期の時を見てしまったのだ
外の者達の対処をしていた我にとっては最悪の事態だった
まだまだ未熟な巫琥の魔力じゃ
どんなに頑張ろうと夜琥は救えなかった
自分の力がもっとあれば
目の前で兄を失うことは無かった
自分が弱かったせいで兄は死んだと
今も責めている巫琥
夜琥のために鴇家に居たが
その瞳に光がなくなりかけていた巫琥を
助けるために居るようになった
いつか、ちゃんとした幸せを手に入れさせるために
それを考えていると
我の…これは…
「…嗚呼…
そうだな…我がしっかりしなければ
巫琥も氷琥も道を迷ってしまうな…
我が導いてやらねば
麒麟の朔鵺の名が泣いてしまう」
そう言って扇を持ち
元の大きな姿へ戻る
鴻は笑顔で
「はい!その調子ですよ朔鵺様!!!!!!!!!」
鴻はパアッと笑顔を見せた
「それより、鴻は手の手当をしなければのぉ?」
クスクスと笑いながら鴻の手を握る朔鵺
優しい光に鴻の手は包まれる
血が出ていたのが塞ぎきると
「こんな駄目な神で済まないな」
朔鵺は少し小さな声で言う
「何を言いますか朔鵺様、
貴方についてきたは自分ですよ?
そんな、弱いところ見たところで嫌いになるもんですか
それくらいもう、気付いて下さいよ」
目を閉じて言う鴻に
安心した朔鵺
ーいい、やつを拾ったな我はー
朔鵺も目を閉じる
ー幸せを…誰か巫琥に…ー
そう願う朔鵺であった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 109