アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
65話
-
白鬼と橙鬼がギョッとした目で見る
「ちょ、巫琥さん!?」
「巫琥ちゃん!!!」
膝をついた巫琥に慌てて二人が寄り添う
手で口を抑えていたものの
血は隙間から溢れ出ていた
ボタボタと先程より多い量で吐く
翠鬼がこちらに気付き、
踊りをやめた
「巫琥!!!!」
翠鬼が急いでこちらへやってくる
動物達は翠鬼の居た場所でまっている
巫琥は血を全部吐き終えると
「はー…はー…
やっぱ…貪欲なのは…ダメだな…
け、結構…身体やばいわ…」
ふっと笑いながら手を見る巫琥
「人間は貪欲なんですよ巫琥さん、
それは貴方が1番知っている
そして…」
「その貪欲で巫琥ちゃんは今“命 ”が削られているんだよ…
それなのにやめないのは …」
白鬼と橙鬼が眉を下げながら小さな声でいう
「ははっ、俺、、本当にダメな契約者だな
ごめんな、こんな貪欲な力を欲する野郎で」
巫琥はこんな状況でも笑う
その言葉を聞いて、その力なく笑う姿を見て、
翠鬼はギリッと歯を食いしばる
「巫琥…
確かにおめーのは貪欲な願いだ
強い力を欲し、誰にも負けない力、
そして神をも殺せる力を欲した
そしてそれらを手に入れた!!
それを悪く使わねぇのは何故か!!
そしてその願いを聞いてもなお!
おめーと契約したままでいるのは何故か!
それは巫琥にとって…それら全部…!!!!
全部!氷琥やみんなのためだからじゃねぇか!!!!
偽善者野郎のこと嫌いなおめーが
そこまでみんなを幸せにしたくて
力を欲した理由はなんだ!?
自分の命縮めてでも!
自分の大切な人達が幸せな日々を過ごせるためだろ?!
まだ、ちいせーガキの時、俺のところへ来た時は
なんて貪欲な野郎だと思ったさ!!
けど今はちげー!
お前は…昔から何かを背負ってきた
自分の過去を…そして大切な人達への想いを…
たかが……10歳で………
な、、、ん…でッッッッ!…」
そこでポロポロ涙を流し始めた翠鬼
巫琥はそれを見て驚く
「なんでっっっっっ!
てめーだけ、、、、こんなにも辛い思いしてんだよ…!
もう十分だろ?
まだ何やるってんだよ…
もう、無茶すんなよ…!!!」
フラフラと巫琥の方へいき、
片方の手を握りしめる
「おいおい…
翠鬼…お前は長角鬼の長だろ?
泣くなよ…
いつもの…ねぼすけ野郎になれよ…」
口元の血を空いている片方の手で拭きながら言う巫琥
「泣くに決まっているでしょ…巫琥さん…!
貴方がいるから私達はここへいるんです!!
なのに…もう最大出力の力を何度か使ってみなさい!!!!
そうなれば貴方は“ 命が無くなるんですよ!?”
それを分かって力を使っているんですか!!!??
私たちを置いてけぼりにする気なのですか!?」
真剣な声で泣きながら言う白鬼
それに続いて…
「そうだよ巫琥ちゃん!
僕達、三鬼は巫琥ちゃんが一番大事なの…
巫琥ちゃんが僕達に教えてくれたんだよ?
楽しいことや、綺麗なこと…
そして…優しさを…人の温もりを!
僕達は巫琥ちゃんだから仕えるの
巫琥ちゃん以外なら絶対従わない…!」
ポロポロ泣きながら言う橙鬼
「巫琥、てめーだから俺ら三鬼は従うんだ
俺ら三鬼の親は全員契約した人間の身勝手さに
命を落としたんだ
その話を聞いてからずっと契約なんてしたことなかった
そんな鬼達が…お前とは契約したんだぜ?
それに今さっき言った俺らのセリフ思い出せよ…
わかるよなこの意味…」
真剣な瞳を向けてくる
それを見て…
「…そんな真剣な眼で見られたら…
俺、もっと貪欲になるじゃねぇか…
俺はまだ死ねない…けど
まだ力がいる…まだ俺より強い“何か ”がいる
それは…決して氷琥達だけじゃ勝てねぇ…
それまでに俺はもっと…
そんなおれでもいいのか?」
目を背けながら言った
まだ自分に自信が無い巫琥
それを聞くやいなや
笑い始めた
「ふふっ、今更感ありまくりですけど…
巫琥さん、それなら私たちはどこまでもついて行きますよ?私たちは貴方と一緒に行きたいのです」
「そうだよ巫琥ちゃん、
巫琥ちゃんが死ぬなら僕らも死ぬ
巫琥ちゃんが生きたいなら僕らの鬼の寿命を分けてあげるんだから!!!!(禁忌だけど巫琥ちゃんのためならなんだってする)」
「お前のためなら俺らは命を懸けてやるさ
この身が滅びるまでお前と同じ道を歩んでやる
そして、橙鬼と同様俺の寿命も分けてやる
だから…」
顔を見合わせ…
「「「だからもっと貪欲になれよ」」」
「私たちが付いてるんですよ?
心に余裕がもてるでしょ♪」
「そーだよ!
僕達がいるなら百人力だし!!いや、千人力!笑
それに巫琥ちゃんにはもっとたくさんの契約した神々もいる訳だし?♪♪」
「まぁ、確かにな
俺らには不可能はねぇ
巫琥のためならな」
翠鬼達は自分のあげた仲間の印の耳飾りを揺らしながら
巫琥に言った
その瞳で見られ巫琥は腕で顔を隠した
「お前ら…それは卑怯だろ…
バカ野郎共…」
ツーっと頬に流れた一本の…
いつの間にか刻印は熱くなくなっており、
なんだか心地いい温かさだった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 109