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13夜
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あれから数日、新しい名を持った神──満月は彼のことを余すこと無く観察した。
こんなにも一日を存分に過ごしたのはいつぶりだろうか。
そう考えると同時に、早く彼を手中に収めたいという衝動も急激に増していった。
彼はどこまでも美しい存在だった。
彼の一挙一動はどこまでも優しく美しく、純を思わせるものだった。表情はいつでも穏やかで、その四肢はいつでも人を気遣う。
──彼は本当に人間なのだろうか。満月もそう思ってしまう程、彼には全く非の打ち所が無かった。
純粋な心、穢れを知らない身体。彼を少し幼く見せる無邪気な笑顔も、穏やかな微笑みも、憂いげに伏せられる瞳も、誰かに伸ばす美しい腕も、歩を進める脚も、言葉を紡ぐ艶やかな唇も……彼の全てが満月を狂わせた。
今すぐにでも欲しくて、欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて欲しくてたまらない。
彼を直ぐに手に入れることも出来た。それでも観察していたのは、彼を迎え入れる準備を整えるため。
彼とこれから一生を過ごすのには、こんなに小さな社では彼を不満にさせてしまうかもしれない。そこで満月は、もう何百年と帰っていなかった己の拠点に一度戻ると、神使に彼を迎え入れる支度をさせた。
──これから私の社が彼の家となり、憩いの場となる。
ずっと、美しい彼と一緒にいることが出来る。
彼との生活を考えるだけで、満月は背筋を震わせ、恍惚に表情を歪めた。
彼を手に入れるまで、あともう少し。
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