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14夜
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満は髪に触れる優しい感触に目を覚ました。
長い間瞑られていた瞼を徐に開けたが、満は余りの光の眩しさに、暫く目の前が白む。
「ぅ……」
「目が覚めたかい? 」
段々と明るさに視界がなれてきて、眼前の人物を目にした満は化石と化したようにぴしりと固まった。
透き通る水色の髪を肩に流した美しい美貌の男が、片肘を付いて満の横に寝転がっている。
男の顔には終始柔らかい笑みが浮んでおり、空いている方の手は、まるで壊れ物を扱うような手つきで満の髪を優しく梳いていた。
一瞬、目の前の光景を満は本気で疑った。と言うよりも、脳がこの状況を理解するのに時間が掛かった。
──一体、何があったのか。
しかし、それも直ぐに解ることだった。
まるで走馬灯のように頭を駆け巡る、意識を失う前の満の記憶。それは、必要以上に生々しく、感覚さえも思い出させた。
導かれるようにして神社に行ったこと、畳に押さえつけられて首を締められたこと。口内をヌルヌルと這い回った舌の感触、ぐちゃぐちゃに混ざりあった唾液の味、首筋や至る所を噛まれた痛み、満のペニスを執拗に扱いた骨ばった手の平の感覚、後孔を穿たれた時のあの激痛、異物感、恐怖、そして──快感。下品なまでに乱れ、自ら腰を振り、男の名前を淫らに連呼した、「満月」と。
そしてその男は、今も尚満へ暖かい微笑みを向けていた。
「──ヒッ 」
瞬間、満の全てを支配したのは満月に対する絶対的な『恐怖』だった。
喉の奥が引き攣り、上手く呼吸が出来なくなった満の肺は、酸素を取り込もうと浅い息を繰り返す。
目の前の脅威に、満の身体は石のように動かなくなり、ただただ不規則に息を乱れさせる。
──怖い、怖くてたまらない。目の前の何かが。人間ではない何かが。身体を支配された時の感覚が。自分に触れる手が。狂った熱い眼差しが。何もかも全てが怖かった。
「満? 」
「──は、ぁ、ひゅっ……はッ……ゃ、あ」
鈴を転がしたように鳴る美しい声は、途端に満の脳みそを震わせた。恐ろしい筈なのに、確かに満は満月の美貌に魅せられていた。
そして満の異常な呼吸に、満月は一瞬だけ眉を顰めると瞬時に事を理解したのか、半開きの満の唇に何の躊躇いもなく己の唇を合わせた。
「ん゛! ああっ! はひゅ、ぁあっ、んッ」
先程まで石のように動かなかった身体が、満月に触れられたことで反射的に胸を押し返そうと腕が動く。
しかし、満の抵抗虚しく後頭部を強く抱え込まれ、密着度は増し、強制的に酸素を送り込まれた。また、それだけには留まらず、満月のエスカレートしていくキスは、上顎を撫ぜ、歯列をなぞり、満の舌を甘く噛んだ。
「ぁう……はっ、や、らぁ、ぅ」
「ん、みちる……」
最後に軽く舌を吸われ、リップ音を残して満月の唇は離れる。
満月の巧みで濃厚なキスは、満の先程の恐怖をあっさりと忘れさせた。
「はぁ、みちる……おはよう? 」
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