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20夜
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「っ昌! 一也! 」
満は意識を取り戻すやいなや、飛び起きた。
全身が汗びっしょりで、再び新しく着せられていた真っ白の浴衣が張り付く。
満は、浴衣と同じく真っ白の布団で目を覚ました。
満月に眼を借りる前に、布団を汚してしまった筈だったがそれはとうに取り替えられていたようで、清潔感漂うシーツ等は憎らしいほど心地がよかった。
しかし、そう感じたのも一瞬のことで、眠ってしまう間に見た最悪の光景を思い出す。
助けてもらえると勝手に信じていた。まさか、流されるとは思いもしなかった。
満は膝を抱えると、そこに顔を埋めた。
満の心はとうに限界を超えていた。
今更遅いのに、満月に出会ってからの自分の言動全てに後悔した。
さっさと己の人生など諦めていれば、こんな事にはならなかった。余計なことを言わず、言い返さず、素直に従っていればこんな事には……
自分一人だけ、のうのうと生き長らえている事にとてつもない後ろめたさを感じた。
昌や一也に憎まれているのではないかと想像するだけで、心臓が握り潰されるほど苦しい。
もう、会えない。会えないどころか、自分が殺めてしまったと言っても過言ではない。
満はもう、どうすれば良いか分からなかった。
いっそ、殺してくれと懇願しようか。しかし、満を殺すことなんてないと言われてしまった以上、それすらも叶わない事だと落胆した。
まさか、自分から死にたいと思ってしまう日が来るとは思いもしなかったと、何故か笑えてくる。
しかし、満の表情は全く笑えていなかった。
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