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プロローグ
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『本日は若干19歳にしてセミロード文庫の主催する小説大賞の最優秀賞を受賞された火月零(ほづきぜろ)さんにお越しいただきました!』
テレビに映るのは、5年前以来顔すら合わせていなかった幼馴染みの姿。
幼さの残る女顔。
ぱっちり二重な瞳に通った鼻筋。薄い唇。
女と同じくらい長い髪の毛。
真っ黒なサラサラのストレートの髪。
これを美形と言うんだろう。それからきっと女に間違えられる。
火月零もとい、都月柏(とつきかしわ)はそんな奴だった。
ただ抜けているところとか天然なところ、泣き虫なとことかはきっと他の奴等は知らない。
それが俺のほんの少しの優越感だったりする。
「火群君?聞いてる?」
「すみません。大丈夫です。少し気になったもので…。」
テレビを横目に見ながら、俺は机に向き直る。
「火群君は火月先生の次の担当だから仕方ないか。」
「はい。」
「君ならきっと上手くいくよ。期待してるからね。」
「ありがとうございます。頑張ります。」
机越しに頭を下げると、相手は席を立って部屋を出た。
『みなさん、僕の作品を読んでくださりありがとうございます。これからもよろしくお願いします。』
もう一度テレビを見ると柏がカメラに向かって微笑んでいた。
俺に会ったらどんな顔をするんだろうか。
楽しみで仕方ない。
5年ぶりの再会、楽しみにしてろよ。柏。
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