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自覚③
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6限の終わりを告げるチャイムが、ここまで重々しく聞こえるとは。
ぞろぞろと教室を出ていく友人たちの背中を見送り、ミヤ先生が職員室から戻ってくるのを待った。
何だか落ち着かなくて、時計を頻りに気にしたり、足を組み替えたり。
鼓動が早くなっているのを感じる。
「おーおー、帰ってなかった」
教室の前方の入り口から顔を覗かせ、
ミヤ先生は、紙をヒラヒラと扇ぎながら近づいてきた。
「これ、さっき決めた文化祭のテーマの紙ね。
クラス内で役割分担して動いてもらうから、そっちの紙に適当にグループ分けして名前書いて」
「…ちょっと待ってください。文化祭、コスプレ喫茶やるんですか?」
「ん、そーだよ。月島寝てたから知らねーだろうけど、満場一致でこれだった」
「うっわ、あいつら絶対ふざける…ちょっとその前に聞いていいですか?
あの、何で今更実行委員を決めなおしたんです?」
「お前その話も聞いてなかったのかよ……
剣道部の竹田いるだろ、そいつが委員やってたんだけど、部活の合宿が夏休みに入って、その上でかい大会出るのも決まって、練習で忙しいから代わってくれって」
「そうなんだ…」
ミヤ先生と視線を合わせないようにしていたら、
彼は前の席の椅子を後ろに向けて、机を挟んで俺と向き合うように座った。
「避けてんの、あからさますぎ」
「っ…」
「俺逃げられると追いかけたくなっちゃうから逆効果だよ」
無視して文字を書き進めていると、視界に手が伸びてきたのが見えたため反射的にその手を払い除けた。
―あ、やべ
と思ったのも束の間、手首を掴まれ勢いよく引っ張られる。
椅子や机が慌ただしくぶつかる音が教室に響いた。
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