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自覚④
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「いってぇ…」
はっ、となり顔を上げると
無造作な前髪の奥から、二つの黒い瞳がじっと俺を見つめていた。
蛇に睨まれた蛙のように、身体が動かなくなる。
抵抗する力は、あるのに。
俺は、魔法にでもかかってしまったのだろうか。
彼は流れるような手つきで、俺の顔にもう片方の手をそっと添えた。
耳から、頬、顎先へと、なぞる様に。
「っっ…」
「いつもみたいに抵抗しないの?」
「…ずりぃ…」
―分かってるくせに。
ふわりと笑った後、顎先を持ち上げられ、思わず目をつぶる。
掴まれていた腕はいつの間にかするすると上まですり抜け、指を絡めていた。
ついばむように唇と唇を重ねるだけのキスをした後、
ゆっくりと離れていく熱を感じながら、目を開けた。
視線が再びぶつかったのも束の間、角度を変えて何度も深いキスをする。
息が絶え絶えになり、口を大きく開けると、グッと顎先を持ち上げられた。
「っん…」
熱い舌が歯列をなぞり、俺の舌を追うように口内をかき乱される。
酸素が足りずに頭がくらくらしているのか、
彼に酔ってしまったのか、
思考が停止するほどに、何度も、何度も絶え間なく彼を求め、
同じように彼も俺を求めてきた。
「はっ、んんっ…」
押し殺していた声も、虚しく漏れてしまう。
苦しくて顔を背けると、頬を優しく撫でられ、『逃がさない』という意思表示なのか、呼吸もまともに出来ないままキスを重ねられた。
堰を切る様に続いたキスも、徐々にゆっくりと優しくなり、
名残惜しそうに彼の顔が離れていく。
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