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其の時、白崎②
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*
彼の首元のキスマークを指差すと、あわてて手で隠し、顔を真っ赤にして俯いた。
「………………恋人、出来たのかな?」
「い、や…その……」
よく見ると汗で前髪が張り付いていて、シャツのボタンもちゃんと留めていないのか胸元が広くはだけていた。
……エロいな
いやいや、じゃなくて
「本当に大丈夫?具合とか悪いなら……『月島ぁー』」
被さるように、空き教室から声が聞こえる。
途端、彼の表情がサーっと青ざめていくのが分かった。
「す、すみません白崎先輩……失礼しますっ!」
そう言い残し、目を逸らして顔を背けたまま走り去っていった。
何なんだ?
一体どういうこと……
「月島?」
目の前に、ひょこっと顔を覗かせたのは、
国語科1年生担当の宮内だった。
何でこいつが?
ここに、月島君と?
「……宮内先生、月島君と何かされていたんですか?」
「なーんもしてないよ……あれ、お前白崎だっけ?1年のフロアで何してんの」
この余裕そうな表情、無性にイラッとする……
飄々と掴みどころがない教師で、僕は1年生の時からこいつが苦手であった。
「月島君が何やら怒っているようでしたけど」
「あいつ怒りっぽいからねぇ。」
「話を逸ら…『昼休み、もう終わるよ』」
冷たく見下ろされ、思わず怯み黙ってしまう。
「お前、月島の何なの?」
「…は?」
「いや、随分執着されているようだから」
「べ、つに…ただの知り合いです」
「ふーん」
心底どうでも良さそうに奴の視線が宙を泳ぐのが分かった。
「あ、そうだ」
肩をポンと叩かれ耳打ちをされる。
「あいつのキスしている時の顔、めっちゃ可愛いよ」
「……………………………………な、」
まるで頭が何かに打ち付けられたような衝撃を受ける。
頭が真っ白になる、とはこういう事を言うのだろう。
嘘だろ。
嘘だと言ってくれ。
振り返り、ダラダラと歩く奴の背中を睨む。
これが本当なら……
宮内………………
絶対に許せない。
握り締めた拳がギリ、と鳴った。
*
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