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焦燥④
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「あんな奴なんかより、
僕の方がずっとずっと、君のことが好きに違いない」
「…大した自信ですね、
でも憶測で話をする奴、俺は好きじゃないです」
首がしまって咽返るような苦しさを堪え悪態をつくと、
彼の目は見開かれ、途端に憎悪とも悲しみともとれるような表情を見せた。
「どうすれば、君は僕のものになる…?どうすれば……」
「何をされても先輩のものになる気は無いし、
こんなことしてる時点で、ありえねーとしか思いません」
今にも顔と顔が触れそうな距離であったが、
俺の発言を真に受け、我を忘れているようだ。
…そもそも、この先に進む勇気さえ彼には無いのだろう。
「僕の方が、絶対に…君を、幸せにできるのに…………」
ネクタイを掴む手が震え、ぱっと離されたと思ったその瞬間、
今度は身体ごとロッカーに突き飛ばされる。
鈍い痛みと共に、机が倒れる大きな音が無機質な教室に広がった。
「っ…!」
―こいつ、正気か? 二重人格かよ…!?
―押し倒されたり突き飛ばされたり、ろくなことがねぇ…
しばらく茫然と立ちすくんでいた彼は、
歪んだ表情のまま、ゆらりゆらりと俺の傍まで近づいてくる。
震えた両手が俺の首を掴みかけたとき、
廊下の奥から、教師の怒声が聞こえた。
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