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疑心暗鬼②
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「どうした?浮かない顔してるけど」
俺はまたふらりと国語科の準備室に来ていた。
しかし、その間あまりにも俺が喋らないものだから、
呑気に空を眺めていたミヤ先生が、心配したのか珍しくそう尋ねてきた。
「…いや、その…」
言えるはずがなかった。
たまたま見たテレビドラマの影響で、彼への気持ちに気付いて、勝手に不安になって…
そして、彼の気持ちが知りたいだなんて。
―『好きという気持ちに確信が持てないような相手なんか、やめてしまった方がいいよ』
ふと昨日の白崎先輩の言葉が頭によぎる。
最悪なタイミングである。
「…なぁ、昨日……白崎と何してた?」
心臓がドクンと音を立てて、大きく跳ねた。
「何、って…」
「放課後、月島が転んだところを白崎が助けていた、って職員室で聞いたんだよ。
って事は、お前ら一緒にいたんだろ?」
「…普通に、文化祭準備してただけです。それを白崎先輩が手伝ってくれていて…
あと…い、色々話をしていて…」
「ふーん」
居心地の悪そうな煙草の煙が宙に漂った。
「それで、どうしてそんな浮かない顔になるわけ?」
「……い、言えねぇ、恥ずかしい……」
こんな事で悩んでいるなんて知られたら…
まるで少女漫画に出てくる恋する乙女のようだ。
…彼は笑って話を聞いてくれるだろうか。
それとも、子どもだな、と一蹴されるだろうか。
ぐるぐると思考を巡らせていると、彼は優しく頭を撫でてきた。
「な、んだよ…」
「散々一緒に恥ずかしいことしておいて、今更それ以上言えないことって、ある?」
彼はそう言いニヤリと笑うと、俺の顔がみるみる内に熱くなった。
「ん?」と小首を傾げてさらに追い打ちをかけてくる。
―駄目だ、ミヤ先生には隠し事出来ない…
隠し続けても、いつかは必ず彼にほだされて言ってしまうだろう。
こんなにも内に秘めておきたいことなのに、胸が高鳴るのは、期待か確信か。
「……ミヤ先生の…気持ちが知りたい」
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