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熅れ③
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長い終業式を無心で聞き、ホームルームで夏休みの課題の話をされ、追い討ちを掛けるように成績表の返却も終わった。
少し気が重くなった空気を一掃するかのように、一人の生徒が声を上げた。
「夏休み暇な人ー!良ければ俺の親戚がやってるコテージに泊まりに来いよ!」
どっと歓声が上がる。
多田というその生徒は、くるりと顔をミヤ先生に向け、不敵に笑った。
「な…、なんだよ」
「もちろん、宮内先生もだからな!」
その言葉を聞いてミヤ先生はあからさまに嫌な顔をしていたが、
内心期待に胸を膨らませている自分がいた。
「詳しい日程とか場所はまた連絡するから!
とりあえず今の時点で行けない日があったら教えてなー」
一気に空気が軽くなる。
周りの奴らの話に耳を傾けると、どうやらバーベキューや花火もできるらしい。
高校生の夏休みらしくて良い。あとは彼女がいれなば…と嘆いている奴もいるが。
―そうか、彼女…恋人…
―……ミヤ先生…
ふとミヤ先生の方に視線をやると、ばっちりと目が合った。
あわてて目を逸らす。向こうも同じことを考えていたのだろうか。
慢心し過ぎているな、と熱を帯びる頬を押さえて少し恥ずかしくなった。
あっという間に放課後になり、沢村たちとも遊ぶ約束をして別れた。
先ほどまでの喧騒が嘘かのように空間に静寂が訪れる。
一人取り残されたこの時間が落ち着かない。
外では野球部のランニングの掛け声やバッティング練習をしているのだろうか、金属音が聞こえる。
それなのに、現実世界ではない異空間にいるみたいで不思議な感覚に陥っていた。
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