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熅れ④
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―遅い。
さっきからしきりに時計を気にしている気がする。
コチ、コチと鳴る機械的な時計の秒針の音が妙に不安感を駆り立てる。
もしかしたら、この教室じゃないかもしれない。
と言っても、ここ以外だったら国語科の準備室しか思い浮かばないのだけれど。
―探しに行こう。
立ち上がって廊下に出ると、四角い窓枠の外は夕暮れ色に染まっていた。
沢村達と長い間無駄話をしているとは思っていたけれど、もうそんな時間か。
特に周りを気にすることなく、準備室に向かって歩いていると、突然、使っていない空き教室の中から腕を掴まれ引きずり込まれた。
バランスを崩したが、瞬時に抱き留められた為に事なき事を得た。
「…ミヤ先生?」
『誰?』という言葉が出かかったが、ふわりと漂った煙草の残り香が、彼の物であることに気付き、安堵する。
カーテンがほとんど閉め切られていて、少しだけ開いた隙間から橙色の光が足元を照らしていた。
「遅くなった。ごめん」
「いいよ、でも何でここに?」
「教室は廊下から見えるし、準備室は違う先生が使ってた」
返事をしようと思った瞬間、さらにぐっと引き寄せられ、鎖骨から首筋、頬へとキスを落とされる。
鼻から抜けるような声を出すと、両手で頬を包まれた。
段々と近づいてくる彼の顔を見て、次に来る出来事を予感し薄く目を閉じる。
優しく重ねるだけのキスをした後に下唇を舐められ、口を開けることを余儀なくされた。
侵入してきた舌は熱く、口内のどこかに触れるだけで腰がピクリと反応する。
片方の腕を腰に回し支えるかと思いきや、
シャツの中に手を入れ脇腹や下腹部を指先で撫でられる。
くすぐったくて思わず顔を背けると、彼の舌先が追いかけるように俺の舌を絡めた。
喉の奥から漏れる声や、熱い吐息が聞こえる度に、
彼は消え入りそうなほど小さな声で「可愛い」と囁く。
それが恥ずかしいような嬉しいような、複雑な感情を生んだが、甘美な快感がそれを上回り呑み込んでいった。
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