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熅れ⑩
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結局、昨晩は数えられない程身体を重ねた。
ドロドロに熟れた果実のように甘ったるいその時間は、今思い出しても咽せ返るほど淫猥なものであった。
顔に落ちる朝日を浴びて目を覚ます。
カーテンも閉めぬまま泥のように眠っていたらしい。
すぐ傍で寝息を立てている安心感と、身を包む体温が心地よい。
「おーい」
声を掛けても起きる様子がない。
端正な彼の顔立ちをまじまじと見つめる。
そういや、眠っている彼の顔を見るのは初めてかもしれない。
それをいいことに頬を軽くつねったり、鼻をつまんだり。
笑いをこらえながら一人で楽しんでいると。
「うわっ」
突然腰に手を回され、素っ頓狂な声が出た。
眠たげな彼が片目だけ開けてこちらを睨んだ。
「…何してんの」
「いたずら。起きないから」
「んー…」
大きい欠伸をしてから、ぐっと身を引き寄せて顔を埋めてくる彼を見て、不本意ながら可愛いと思ってしまう自分がいた。
「起きろー」
「…もう少し…このままがいい」
今分かったことがある。
彼は普段はぶっきらぼうで偉そうで優位に立っているが、以前も少し見たことがあるように少し甘えん坊な面がある。
あと、朝が弱い。
毎朝こうやって一人でうだうだしているのかと思うと、可笑しくて笑ってしまう。
顔に影を落とす前髪を撫でつけてやると、はらりと再び落ちてくる。
また手を伸ばすと、急に目を開いた彼に掴まれた。
「捕まえた」
「何だよ、起きてんじゃん」
「ちょっかい出してくる宵が可愛くて」
「……あのさ、可愛いって言うの止めてくれない?
あといつの間に俺のこと宵って呼ぶようになったの」
うーんと唸って考えてから、誤魔化すように俺の鼻先にキスをした。
意味を求めるのもおかしな話なのだろう。
「そんなことより、さ」
掴まれた手が、そっとどこかに触れるように導かれる。
それが何か分かった時、顔が見る見るうちに紅潮していくのを感じた。
「何で固くなってんだよ…!」
「生理現象か、宵が裸だからか…どっちかな?」
「知るかよ、ちょ、そこを押し付けるな!服を着ろ!」
「今日の第一発目、やる?どうする?」
ニヤニヤと顔を覗いてくる彼は、目つきと発言が完全にエロ親父のようであった。
力を込めて頭を小突くと、ぱっと手を離されやっと解放された。
何て能天気な一日の始まりだろう。
ベッドで悶える彼を見ながら、緩んだ顔を隠すように床に落ちていたブランケットを頭から被った。
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