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火照り②
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作り物と言えど、底に反射する水色の揺らぎが綺麗だ。
直射日光を避けた水中は冷涼で気持ちが良い。
「おい、死ぬ気かよ」
プールサイドに腰掛ける沢村にそう驚かれる。
余りに長く潜っていたからか、長距離をハイスピードで駆け抜けたような息苦しさを感じた。
「いやー、市民プールと言えど馬鹿にならねえな」
熱を溜めたタイルに背中を預け、冷えた体がじんわりと温まっていく。
ぼうっと水面を眺めていると、石川とよっちゃんが怪訝そうな顔でこちらに近づいてきた。
「おーい、そろそろ話せよ月島」
「今日ずっと上の空だぞ」
「んーーー……」
俺は以前からミヤ先生との関係を沢村達に打ち明けようと思っていた。
しかし、なかなかタイミングが無く今日まで至ったということだ。
モヤモヤとした気持ちを抱えたまま過ごしていると、その姿を見た沢村たちが「隠し事があるだろ」と詰め寄ってくる始末。
よし、言おう。
言ったら彼らはどんな反応をするだろうか。
驚かれる?
……それとも──
「俺、ミヤ…宮内先生と付き合っている、んだ」
おずおずと彼らの顔を見上げる。
数度目を瞬かせ、途端に耐え切れないとでも言わんばかりに吹き出した。
「なっ……笑うなよ!真剣に話してるのに!」
「……ごめんごめん、深刻そうな顔してるから病気か何かと思ったんだよ」
想像していなかった反応に、こちらが拍子抜けしてしまう程であった。
「転校するとか言い出すかと思った」と言うよっちゃんの言葉に、彼らはうんうんと大きく頷いた。
「つーかそんな事、前から知ってるし」
「…………へ?い、いつから?」
「お前が突然休み時間にフラフラどこかへ行くようになったあたりから、かな」
「めちゃくちゃ前じゃねーか!」
「コソコソ怪しいから、石川が後つけたら、ね……」
目の前でニヤニヤと顔を見合わせる意味を理解し、顔が紅潮していくのを感じる。
「やることやってんなぁ~、お前ら」
「……や、やめろ!それ以上喋んな!恥ずかしい!!」
「で?どこまでやったの?」
耐え切れず、その場を逃げ出す。
楽しそうに追い掛けてくる声を聞いてほっとする。
俺にとって、ミヤ先生との関係を打ち明けることは世界がひっくり返るくらい一大決心だったのだ。
だから、彼らの温かさに心が浮き立ち、妙に弾んだ気持ちを覚えた。
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