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視線②
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夏休みも早々に過ぎ去り、あっという間に文化祭当日になった。
男子高校生らしいセンスで『1-2 コスプレ喫茶』とチグハグな装飾を施された教室に一歩踏み込むと、息を呑む音が聞こえた。
「なっ、そんなに見るな!」
スカートの裾を抑えて周囲を睨むと、歓声が上がった。
あぁ、こんな事ならあの時のホームルーム、起きているんだった。
「月島、めっちゃ似合ってるなー!」
豪快に笑う沢村もスカートを履いているが、運動部特有の逞しい脚が覗いていて、その衝撃的な光景に吹き出してしまう。
「おーい、あと10分で一般公開始まるから前半のグループは準備しろよー!」
騒がしくなった教室内の雰囲気を断ち切るように、顔を出したミヤ先生がそう叫んだ。
その言葉に各々張り切る奴もいれば、嫌々重い足を引きずって準備に取り掛かる奴もいて、俺は後者だった。
─スースーするし、落ち着かねえ……
─すっげえみんなに見られてるし……
するとその瞬間、教室前方にいるミヤ先生と目が合った。
彼は、目を見開き驚いた表情を見せたと思ったら、すぐに顔を背けてしまった。
「…最悪…ミヤ先生に見られた……」
ため息をついて項垂れていると、背後でシャッター音が聞こえた。
振り向くとよっちゃん達が真剣に俺の姿をカメラに収めているではないか。
「……おい、何してんだっ!消せっ!盗撮禁止!!」
「こりゃーマニアに高値で売れるな」
「ふざけんな、写真撮影は有料だ!金払え!」
「だって俺文化祭の広報係だもーん、これは義務でーす」
そう言いながらシャッターを切り続けるよっちゃんに飛び掛かるが、ひらりと交わされてしまう。
周りのギャラリーから「月島パンツ見えてっぞー」との忠告が入る。
「くっそ……早く終われ……!」
恥ずかしさに顔を紅く染め、この文化祭が早く終わることを切に願うばかりであった。
文化祭開始まで、あと5分─
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