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視線④
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じっとこちらを見据える嘉音の視線に気付き、慌てて礼を言うと、彼は眉を顰めて顔を覗き込んできた。
「平気?他に何もされてない?」
「…あ、うん。大丈夫。ありがとな」
「月島君に何かあったら大変だもん、友達だしね」
まるで言い含めるように『友達』という言葉を強調して話す彼に違和感を感じたが、優しく笑ったのを見て安堵した。
「びっくりしたよ、交代の時間なのにいつまで経っても月島君が来ないから、様子を見に行ったらあんな事されてて」
「え?もう交代の時間?」
「そうだよ、だから休憩してきて。でも誰かと一緒にいた方がいいよ?さっきの奴らがいるかもしれないし」
「分かった。
それと、本当に…助かった。」
「いいって!というか、ああいう事されたら月島君ならぶっ飛ばしそうだと思ってたんだけど……
意外と可愛いところあるんだね」
「なっ……!」
「はは、なんてね!じゃ、後半行ってくるねー」
そう言い、ひらひらと手を振り再び走り出していってしまった。
何だか飄々として掴めないやつだ。
なかなか解けなかった身体の緊張が少しずつ解けていくようだった。
同じ前半グループの沢村たちの姿を探そうと思い立ったその時。
「月島、今暇なら材料運ぶの手伝ってくれない?」
慌ただしそうにしているミヤ先生に話し掛けられる。
彼の頼みという事もあるが、何ともなしに一つ返事をして引き受けた。
コツコツと響く足音。
気付けば辺りに人影は殆ど無かった。
「……え、っと…何処まで行く…んですか?」
「今は他に誰もいないし、敬語じゃなくていいよ」
「いやいや、てか材料なら家庭科室にあるんじゃ……」
そこで不敵に笑われ、事を予感してしまった。
この予感が当たらないことを祈るばかりであったが。
「入って」
導かれ開かれたドア。
今更断って戻るわけにもいかず。
彼に手をとられ、空き教室の中にするりと入っていった。
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