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警告②
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文化祭準備以降、嘉音とは急激に仲良くなったと思う。
今日も、彼が行きたいと前々から言っていたドーナツ屋に立ち寄る約束をしていた、のだが。
突然慌てて「すぐ戻るから待ってて!」と言い残し、彼はどこかへ行ってしまい。
ポツンと1人教室に取り残されてしまった。
「…暇だなぁ」
ふと、黒板の隅に書かれた乱雑な『文化祭オツカレ!!』という文字が目に入る。
今思い返せば本当に目まぐるしい2日間だった。
2日目は何事も無くスムーズに終えられたが……
─尻は触られるわ、ジロジロ見られるわ、それに……
ミヤ先生の、意外な一面を知ることが出来た。
突発的とは言え、空き教室でのあの行為は記憶から消し去りたい出来事である。
幸いにも姉のスカートは汚れなかったが、返した際の罪悪感と言ったら尋常ではなかった。
「忘れよ忘れよ……」
雑念を振り払って自虐的に笑う。
意識を別の方へ向けられると思い立ち、イヤホンを耳にはめて音楽を聴くことにした。
「早く来ねえかな……」
─────────────────
「調子はどう?」
窓際で腕を組んでこちらを見つめる彼の顔は、何処と無く曇っていた。
「すみません、まだ何も接触出来ていません……」
「そっか……」
「でも、月島とは最近仲が良いので、このまま上手く行けば」
「ふふ、それで月島君の魅力に気付いて好きになったりしないでよ?」
そんな事、あるわけが無い。
俺が好きなのは、白崎先輩…貴方なのに。
「僕も月島君を言いくるめようとしたけど1度失敗してるからね、嘉音に偉そうなことは言えないんだけどさ」
窓から向かいの校舎を眺めて何か見つけたのか、優しく微笑む彼。
その視線の先を辿ると、俺が待っててと告げた教室から、大口を開けて寝ている月島が見えた。
─ズキン…
胸が痛む。
俺にはこんな顔、見せてくれたことなど無いから。
「君が月島君と同じクラスだからこんなこと頼んでいるけど、僕も僕なりに色々動いてるから、ね。安心してよ。」
「は、はあ……」
「お互い頑張ろう。また何かあったら教えてね。」
帰っていいよ、と素っ気なく言われる。
そこに居座る理由も無いので虚しい気持ちになりながら彼に背を向けて扉を開けた。
気が重い。
慕う彼のためとは言え、俺からしたら敵のような存在の奴と仲良くして、おまけに宮内との仲も引き裂かないといけないのだから。
「はぁ……」
「何?悩み事?」
声のする方を慌てて振り返ると、そこには宮内が気だるげに立っていた。
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