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警告③
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「何で宮内…先生がここに?」
「んー?図書室に寄った帰りだけど」
そう言った彼の手には、哲学や文学書など小難しそうな本が多数抱えられ、曲がりなりにも国語教師なのだと改めて思い知らされる。が、今はそんな事を考えている場合ではなく。
「今、聞いてました?」
「んー?何が?」
しらばっくれているのか本当に聞いていないのか分からないが、どちらにせよ彼は飄々としていて真意が掴みにくい。
「白崎と嘉音って、仲良いんだな。意外。」
「…やっぱり聞いてたんですね」
「や、話は聞いてないよ。
何、そんな大事な話?告白でもされた?」
「違います!」
「だよな」と頷く彼。
……何に納得しているんだ?
「ま、何でもいいけど」
こちらに向かって歩み寄ってくる。
バレまいと虚勢を張って堂々としていなくてはいけないのに、彼の冷たい表情に一歩後ずさりしてしまう。
「邪魔だけはしないでくれる?」
耳元でそっと囁かれたその言葉は、確実に俺と白崎先輩に向けられて言ったものだった。
牽制などではない、これは警告だ。
全て、彼は分かっていたのだ。
ぽん、と肩を叩いて「じゃあな」とだけ一言。
その余裕ぶりが余計に焦りと苛立ちを増長させられた。
鞄からスマホのバイブレーションが響き、はっと我に返る。
まだ終わらないのかと催促する内容の連絡と、動物が首をかしげているスタンプが月島から送られてきた。
「すぐ行く」と短く返事をして、宮内とは違う道から彼のいる教室へと足を早めた。
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