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悪戯②
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初めに言っておくが、これは決して他意がある訳では無い。
中間テストが迫ってきた今日この頃、流石に勉強しようと思い立った、のだが。
家には小煩い姉がいて、集中できず。
沢村達と勉強会などまともに出来る気もしないし、それから嘉音には用事があるとか何とかで断られた。
「…で、俺のところに来た、と。」
「……はい、すみません。勉強教えて下さい……」
普段のスーツ姿とは打って変わって、ラフなスウェットを着ている宮内先生は何だか新鮮味があった。
「まぁ来ちゃったもんは仕方ないし、入れよ」
「あざーっす!」
厚意に甘えて家に上がると、コーヒーの香りがふわりと漂ってきた。
彼の後をついていくと、リビングに置かれたガラスのローテーブルを指さされたので、雑然とした周囲を見渡してから座った。
「丁度コーヒー淹れたんだけど、飲む?」
「飲む!牛乳と砂糖多めで!」
「はいよ」
眉を下げて笑った彼は、きっと「味覚がお子様だな」とでも思ったのだろう。
ムッとしてテーブルに勉強道具を広げた。さて、何からやれば良いのやら。
とりあえず苦手な理数科目からやるか、と数学の教科書を手に取った。
大きくはみ出して引かれたラインマーカーの、やる気のなさを見て取れる。
「うわっ、ひどいまとめ方だな」
「だって授業眠いし意味わかんねーし…」
「だからってぐちゃぐちゃにまとめたら益々分からなくなるだろうが」
隣に座って教科書を覗き込んでくるふとした動作にもドキっとしてしまう。
気が紛れると思い、手渡されたコーヒーを一口啜る。横目で彼をこっそり見ると、うーんと大きく唸って必死に考え込んでいる様子だった。
「とりあえず公式を頭に叩き込むことだな。あとは……数学は公式によって出題の傾向のクセみたいなのがあるから、それを見抜くことがポイントかな」
「うっ…急に教師らしくなった」
「勉強が苦手な生徒を放っておく訳にはいかないだろ」
ほら、と頭を撫でられ仕方なくペンを走らせる。
さらさらとノートに文字を書く音だけが部屋に響いた。
しばらく問題を解いていると、隣に座っていた彼が背後に移動し、俺の肩に顎を置いてぴったりと身体を密着させてきたではないか。
驚いて振り返ると、触れ合ってしまいそうなほどの至近距離に彼の顔があったので慌てて目線を戻した。
「手ぇ止まってるよ、どこが分かんないの?」
「え、いや大丈夫…」
腰に回された手と、耳元で話される度に息がかかって、妙に緊張してしまう。
「とりあえず3章分終わったな、答え合わせするか」
そう言うと、彼は解答集を見ながら答え合わせをしてくれた。
結果は2問不正解。俺としては上々の出来、なのだが。
「………っ!?」
突然耳を甘噛みされ、「2問間違えたから、お仕置き」と囁かれる。
「えっ、俺としては良い出来なんだけど……ぁっ」
耳朶を唇で挟まれ、言い返す余裕も虚しく消えてしまった。
ふっと妖しく笑い、彼は不思議な事を言い始めた。
「じゃあさ、ここでルールを決めよう」
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