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悪戯⑧
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「ぜっっってー許さねえ」
痛む腰を擦り倦怠感を堪えながら、俺は必死に平謝りする彼を睨んだ。
「本当にごめんって」
「うるせえ」
皺が寄ったカーペットの上で俺にすがりついてくる彼は非常に滑稽だった。しかしそれくらい罪悪感を感じているのだろう。
「気絶した宵を見て興奮してごめん!」
「……いちいちそういうこと言うなっ!」
腰に手を回して上目遣いで見上げてくるが知ったこっちゃない。だって、本当におかしくなりそうだった。というか、おかしくなっていた。
「テストで良い点取れなかったらミヤ先生のせいだから」
「うん、もし補習になったらまた付きっきりでみっちり教えるから……って、痛え!!」
「反省してるなら態度で示して下さーい」
言い方がいちいちいやらしいんだよ、と毒づき彼の腹に一発拳を打ち込む。
「もう帰る」
「え?帰るの?泊まっていけばいいのに」
「変態教師にこれ以上何されるかわからないんで」
そっか…と寂しそうな彼は、いつもならしつこく引き止めるのに今回はあっさり食い下がった。
クローゼットから無難なTシャツとボトムスと新品の下着を出してきて、手渡してくる。
「濡れちゃったから俺の貸すね」
「……おう」
濡れた下着はどうするんだと問いたいが、止めることにした。
「もう遅いし、近くまで送るよ」
「いいよ、別に……女の子じゃあるまいし」
「そんな状態の宵を1人で出歩かせられない、それに俺が心配だから」
その一言で、さっきまでへなちょこ同然だった彼に胸をときめかせている俺は馬鹿なのかもしれない。
安心する匂いが染み込んだ、俺には大きすぎる服の袖を引っ張る。
指の先で車のキーを玩ぶ彼の後ろに続いて、こっそりと堪えきれない笑みを浮かべた。
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