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企てる③
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仕事終わり、なんとなしに近くのコンビニに立ち寄った。
スイーツが並んでいる冷蔵コーナーに、『新商品!栗とさつま芋の贅沢秋風味パフェ』と書かれたパッケージの秋らしさ満点のパフェを見つけ、思わず足を止める。
「もう秋か……」
忙しない日々を送っていたからか、季節の移ろいさえも気づかなかった。
街道の木々の色が変わりかけているなんて、注意してなきゃ分からないし、秋といえど暑い日がまだ続いている。
自分は、コンビニの季節限定メニューを見て四季を感じる大人になってしまったのかと、少し落胆した。
「…アイツ食べるかな」
ふと、月島の顔が浮かぶ。
甘い物が好きな彼は、喜んで飛び付いてくるだろう。
俺はまったく食べないが、買い物カゴにそのパフェを1つだけ入れた。
今、宵は何してんのかな。
テストが終わった開放感から沢村たちと遊んでいるか、家でぐーすか寝ているのだろうな、と考える。
彼のことを考えると自然と顔が綻んでしまう。あわてて緩んだ口元を抑え、アルコール飲料のコーナーへと向かった。
─現在、彼の身に起きた出来事にも気付かずに。
「ごめんね、月島くん」
そして同時刻、月島は嘉音の肩にぐったりと凭れ、タクシーの車内にいた。
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