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企てる④
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気持ち悪い。視界が歪む。
ここは何処だ?
「月島くん」
誰かに名前を呼ばれる。
あ、しかも俺誰かの肩に凭れてる……
でも、頭を動かそうにも重くて動かない。
「月島くん、大丈夫?」
─あぁ、この声は嘉音だ。
─そうだ、俺は……
─嘉音に呼び出されて、それから…………
苦しそうに顔を歪める月島くんを見て、心底胸が痛んだ。
白崎先輩から渡された睡眠薬入りのジュースを、俺を疑うことなど微塵もない彼に飲ませた。
程なくして意識が途切れた彼を担いで、裏門前に呼んでおいたタクシーに乗り込んだ。
裏門と体育館倉庫は近い距離にあるから、他の人に見られる可能性は低いと考え、この場所に彼を呼び出したのである。
『ただの睡眠薬だよ』と白崎先輩は言っていたけど、この苦しみようは普通の睡眠薬では無いだろう。
後から湧き上がってくる罪悪感に酷く苛まれていた。
バックミラー越しにこちらを怪訝そうに見てくる運転手と目が合い、慌てて視線を外へ逸らす。
怪しまれて当然だと思っていると、白崎先輩から着信が入った。
「…もしもし」
『もしもし、僕だけど………上手くいった?』
「はい、今隣で寝ています。あと数分でそっちに着くと思います」
『分かった、待ってるよ。月島くんが寝ているからって手出さないでよ?』
「大丈夫ですよ、ちゃんと連れて行きますから………じゃあまた後で」
クスリと笑う彼に、ジュースに一体何を入れたのか聞くことが出来なかった。
静かな車内に、時折苦しそうに呻く月島くんの声だけが響く。
俺にとってこれがきっと最善策だと思うのに。
どうしてこうも胸が苦しいんだ。
これで、
これでいいのか?
思わず肩を支える手に力が入った。
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