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「え…いや、何でもない」
自分でも分かるくらいの引き攣った笑みを返しながら俺は首を横に振った。
「…うわ」
「ん?何か言った?」
茶髪男が何か呟いたみたいだったけど、周りがざわざわしていて聞こえなくて聞き返した。
「いや?何でもねぇよ。お前名前は?」
「え?あ、椿葵蒼衣(つばき あおい)」
「蒼衣な…俺は萩埜朔弥(はぎの さくや)。よろしくな」
「あー…うん、よろしく…って…ん?萩埜朔弥?」
萩埜朔弥って…
「もしかして寮、同室?」
「マジ?……そういえば、椿って漢字見たかも…苗字の読み方分からなかったけど、あれでツバキなんだ?」
「よく間違われる」
「つばきあおいあおいとか?」
「そうそう」
なんて話しているとマイクを通した声が体育館の中に響いた。
萩埜はその声に後ろへ向いていた体を前へと戻した。
『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。』
教頭らしき人のその言葉で、いよいよ入学式が始まった。
校長の話やら理事長の話が続き、そろそろ眠くなってきた。
いや、話なんて少しも聞いてなかったけどね?
『続いて生徒会役員の紹介です』
壇上をぼーっと見ていると上がってきた人達の先頭にいる人は、先程俺に道を教えてくれた人だった。
『椎名学園、生徒会長の櫻井湊人(さくらい みなと)だ。』
さっきの人、生徒会長だったんだ!
なんて思っていたら体育館が一気に騒ついた。
「うわぁ…カッコイイ」
「男前だな…」
「抱いてほしいー」
ん?
なんか今、聞こえるハズもない言葉が聞こえてきたんだけど…?
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